鏡の前に立って、自分がこれまでつくり上げてきた体を眺めてみよう。どの部位もまんべんなく発達しているだろうか。特別に目立っている部位があったり、あるいは逆に、印象が弱い部位はないだろうか。完璧な肉体を完成させようと思うなら、少しでも見劣りする部位や、バランスが取れていない部位があってはならない。そういう弱点部位は早いうちに改善しておく必要がある。弱点部位の改善には何をすればいいのか。答えはプレイグゾースト・トレーニングを行うことだ。
筋肉を発達させることはたやすいことではない。発達のメカニズムは複雑で、しかも私たちが思っているほど簡単に反応してはくれないからだ。もちろん個人差はあるし、同じ人でも筋肉部位による反応の差もある。初級者のうちはまだ弱点が目立つことはない。しかし、トレーニング歴が長くなり、体のさまざまな部位の発達が目に見えて分かるようになってくると、同時に発達が遅れている部位が目につくようになる。それを改善しないままトレーニングを続けていくと、間違いなく未完成な体に仕上がってしまうのだ。ボディビルに興味がない人でも、アンバランスな体を目にすると「よく分からないけど、何か変」という違和感を持ってしまう。どれだけ肩が大きくても、どれだけ上腕二頭筋が巨大でも、胸に厚みがあっても、背中に広がりがあっても、弱点部位が存在することでバランスを崩してしまっていれば総合的な評価は落ちてしまうのである。せっかくの努力を無駄にしないためにも、弱点部位はできるだけ早期に発見して手を打っておきたい。そのために用いることができるのが今回紹介するプレイグゾースト法である。どうしてプレイグゾースト法が弱点部位の克服に役立つのかをさっそく、解説していくことにする。
プレイグゾースト法の基本
プレイグゾースト法とは、選択したアイソレーション種目でまずは特定の部位をある程度まで疲労させ、その後、その部位を含む対象筋を多関節種目で追い込むというものだ。これにより、アイソレーション種目で疲労した部位は、続けて行う多関節種目で限界まで追い込まれ、その部位の発達を促すことができる。通常のワークアウトでは、エネルギーが十分にあるワークアウトの前半で複数の多関節種目を行うのが一般的だ。その後、さらに追い込みたい部位を刺激するためにアイソレーション種目を行ったりするわけだが、この順番を逆にして行うのがプレイグゾースト法なのだ。アイソレーション種目は一つの関節だけを可動させる種目であり、刺激を受ける対象筋も通常は一つだ。例えば上腕二頭筋のためのバイセップスカール、胸筋のためのペックデッキフライ、大腿四頭筋のためのレッグエクステンション、そして三角筋側部ヘッドのためのサイドレイズなどだ。一方、多関節種目はいくつかの関節が稼働する動作なので、複数の筋肉が運動に参加する。ベンチプレス、ロウイング、ランジ、スクワット、デッドリフトなどが代表的な種目だ。プレイグゾースト法は、例えばペックデッキフライを最初に行い、続けてベンチプレスを行うというやり方だ。ペックデッキフライは胸筋だけをターゲットに刺激する種目で、続けて行うベンチプレスでは胸筋、上腕三頭筋、肩など複数の部位が刺激を受ける。ペックデッキフライで疲労した胸筋は、その後に行うベンチプレスでさらに追い込まれることになる。このとき、上腕三頭筋や肩はまだ完全に追い込まれてはいないはずだ。アイソレーション種目で事前に疲労させておくことで胸筋だけは徹底的に刺激を受けることになる。胸筋が弱点部位であるという人にとって、このやり方はとても有効だということが理解できるはずだ。このやり方は、胸筋が発達しにくいという人や、ベンチプレスが胸に効かなかったり、胸より上腕三頭筋や肩に効いてしまうという人に適している。目的の部位に効かずに他の部位に刺激がいってしまう、それを改善するために用いられるのがプレイグゾースト法なのだ。実際、アイソレーション種目を先に行ってターゲットにしたい部位を疲労させておくと、続けて行う多関節種目ではさほど高重量を使わなくてもターゲットにしたい部位を限界までしっかり追い込むことができる。そのためには2つの種目を連続して行うようにする。2種目を連続して行うというのはスーパーセット法のようなものだ。連続して行うことにより対象筋の緊張は持続し、対象部に乳酸が瞬く間に溜まるため、強烈なバーン感がもたらされる。高重量を用いなくても対象筋をしっかり追い込めて、なおかつ強いパンプも得られるのだから、弱点部位の克服に適したやり方であることが分かる。
プレイグゾースト法の理想的なレップ数
プレイグゾースト法の効果を最大限に得るには、組み合わせる2種目のレップ数を適切に定める必要がある。つまり、最初に行うアイソレーション種目にはハイレップ(10〜20レップ)を、続く多関節種目は低〜中程度のレップ数(5〜12レップ)を行う。アイソレーション種目でハイレップを行うことにより、ターゲットにする対象筋への血流量を増やし、十分に疲労させるための乳酸も蓄積することができる。続く多関節種目で低〜中程度のレップを行うのは、複数の筋肉が関与する多関節種目では比較的高重量を使うことができるからだ。プレイグゾースト法で行う多関節種目では高重量を扱わなくてもいいわけだが、これはつまり、多関節種目を単独で行うときほどの高重量は無用であるという意味なので誤解のないようにしてほしい。ちなみに、プレイグゾースト法は弱点部位の筋力向上というより筋量増加のためのテクニックだ。したがって、多関節種目で低レップを行う場合でも5レップ以上(理想は8レップ以上12レップ以下)はできる高重量を選択しよう。
文・Raphael Konforti MS, CPT
翻訳・ゴンズプロダクション
提供元・FITNESS LOVE
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