3. OECDのデータでも確認してみよう!
日本の企業数のデータはわかりましたが、果たして日本の中小企業は多いのでしょうか?
前回の労働者数でみた場合は、決して中小企業で働く労働者の割合が大きいわけではないことはわかりました。
下記については、以前記事化している内容も含みますので、こちらもご参照いただければ幸いです。
参考: 日本の中小企業は本当に多いのか!?
まず、OECDのデータで、各国の中小企業の数を見てみましょう。
図5は、OECDのデータで、中小企業と定義される従業員数1~249人規模の企業数です。
このデータは、農林水産業、金融・保険業、公務・教育・保健を除いた、一般産業の企業数となります。
経済センサスのデータで、該当する産業の300人未満の企業等数をカウントすると297万社程度ですので、おおむね合致しそうです。
日本は先進国で5番目に中小企業の数が多いようです。
イタリアの中小企業数が多いのが目につきますね。
各国で人口が異なりますので、人口当たりにして並べなおしたのが図6です。
日本は100万人あたり、中小企業が2.2万社と、アメリカ、スイスに次いで少ないようです。
中小企業数 対人口(100万人)比
2016年 33か国中 単位:万社
1位 9.5 チェコ
11位 6.1 イタリア
23位 4.1 フランス
27位 3.2 イギリス
28位 3.0 ドイツ
29位 2.3 カナダ
31位 2.2 日本
33位 1.3 アメリカ
当然他国も、該当する一般産業(農林水産業、金融・保険業、公務・教育・保健以外)の企業数と思われますが、仮に日本の全企業数の410万社を人口で割ると3.3万社になるので、それでやっとイギリスやドイツ並みといったあたりですね。
もちろん、各国の基準が厳密には一致していないと思いますので、参考程度に眺めていただければと思います。
図7は、全企業数に対する中小企業の割合です。
いずれの国でも99%以上は中小企業となります。
主要国では、特にイタリアとフランスの割合が大きいですね。日本は99.6%、アメリカは99.4%です。
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今回は、中小企業の数について着目してみました。
前回の労働者数同様、日本の中小企業や小規模企業は殊更多すぎるというわけではなさそうです。
大切なのは、それぞれの企業規模で、適正な付加価値を稼ぎ、消費者でもある労働者への分配も増やしていくことと思います。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2022年6月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。
文・小川製作所/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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