かつては「服になった海苔」も

「プリント」ではありませんが、より古い時代には板海苔が「服」になったことがあります。

島根県の島根半島にある十六島(うっぷるい)という地区を中心に、土着の種であるウップルイノリというノリが発生します。内湾の静かなところで育つスサビノリという種で作られた一般的な海苔と比べると、日本海の荒波に揉まれて育つウップルイノリで作られる「十六島海苔」は分厚く丈夫で色が黒く、風味が強い高級品です。

海苔は食べるだけにあらず? 図鑑に名刺に古くは服にも活用
(画像=十六島海苔(提供:茸本朗)、『TSURINEWS』より引用)

江戸時代、当地にあった松江藩藩主松平治郷が、この十六島海苔で作った羽織を着て江戸城にのぼり、将軍の前でそれをちぎって食べ驚かせた、というエピソードが残っています。

このように海苔は食べ物でありながらも、紙や布の代わりになるという大変ユニークな食べ物なのだといえるでしょう。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

提供元・TSURINEWS

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