電気魚の発電システムは生体電池のヒントになる
今回の研究により、電気魚たちの発電能力が、ナトリウムイオンの取り込み口となる遺伝子に起きた、ごく小規模の変異によって推進されたことが示されました。
またこの変異によって電気魚にもともとあった2種類の筋肉のナトリウムイオン取り込み口が1種類になり、残る一種類が電気器官として発現するようになったことが判明します。
どうやら筋肉が電気器官になる過程では、細胞の分極に必要なイオン取り込み口の仕分けも行われていたようです。
電気を発生させたりやコミュニケーションを行う電気魚は、既存の生命とは大きく異なる存在に思えますが、電気器官は筋肉のアレンジであり、分極機能も筋肉からのおすそ分けに依存していたのです。
現在、電気魚の発電機構は柔軟な生体電池の開発においてヒントとなると考えられており、研究が進められています。
もしかしたら未来のスーパーには、生きた細胞から作られた生体バッテリーが通常のバッテリーと共に並んで売られているかもしれません。
参考文献
How Electric Fish Were Able to Evolve Electric Organs
元論文
Divergent cis-regulatory evolution underlies the convergent loss of sodium channel expression in electric fish
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功