「LG電子が携帯電話事業を続けていたら、もっと大変だったでしょう。良い選択だったと思います」(ノ・グンチャン現代車証券リサーチセンター長)

LG電子が携帯電話事業から撤退して1年余りが過ぎた現在、当時の選択を巡り肯定的な評価が多い。インフレや景気低迷などでLG電子の主力事業も見通しが不透明な状況で、携帯電話事業まで維持していれば、財務健全性がさらに悪化する可能性があったということだ。LG電子が抜けた席はサムスン電子とアップルに振り分けられた。韓国メディア「ハンギョレ」が報じた。(写真:LGツインタワー)
原文リンク:https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1045068.html

30日、証券会社のアナリストの話を総合すれば、LG電子は携帯電話事業の撤退で財務健全性の向上とブランド価値の維持などの効果を得られた。LG電子は今年第1四半期に21兆1114億ウォン(約2兆1803億円)の売上を上げ、1兆8805億ウォン(約1942億円)の営業利益を出した。売上と営業利益ともに四半期基準で過去最高だが、見通しは明るいだけではない。家電(H&A部門)事業は原材料上昇と物流費用などで、テレビ(TV・HE部門)事業はマーケティング費用増加と販売鈍化などで昨年より営業利益率が低くなりかねないという見通しが出ている。携帯電話事業まであったとすれば、見通しはさらに悪くなりかねないという話だ。

その上、サムスン電子が今年のスマートフォン生産量を当初の目標である3億台以上から2億7千万台に下げるなど携帯電話市場の見通しは良くない。SK証券のキム・ヨンウアナリストは「2020~21年にCOVID-19大流行でテレビや家電など主力事業が超好況を享受したが、今年の業績が継続的に良くなるかは不透明な状況で赤字状態の携帯電話はもちろん太陽光事業を整理したことは適切だった」と明らかにした。

家電のプレミアムブランド価値を携帯電話が蝕む問題も解決された。LGスマートフォンは韓国内で3位であり、世界市場では中国ファーウェイ・シャオミなどにも押されて久しい。キウム証券のキム・ジサン分析家は「(家電側は)プレミアム製品で収益率を上げているが、携帯電話のイメージは中低価格と認識され衝突し、継続していたら(家電の)プレミアムブランド価値が損なわれざるを得なかった」とし「より早く撤退しなかったのがむしろ残念だ」と話した。さらに、事業撤退で支給なしに受け取るだけの特許収益もかなり高い。キム・ジサンアナリストは「第1四半期に1千億ウォン(約103億円)台の特許利益を得ており、今後も規模は減るだろうが続く見通し」と述べた。

このような結果については、ク・グァンモ会長がグループ経営を引き受けたことで現れた変化という解釈も伴う。キム・ジサンアナリストは「ク・グァンモ会長就任以後、LGイノテックのLED事業撤収をはじめ『選択と集中』にともなう経営判断が目立つ」と話した。

ただし、自動車部品やロボットなどの新成長事業がまだ明確な成果を出せずにいるのは限界として挙げられる。今年第1四半期に自動車部品などを生産する電装(VS部門)事業は、売上1兆8776億ウォン(約1939億円)に営業赤字63億ウォン(約7億円)だった。ユアンタ証券のペク・ギルヒョンナリストは「電装やロボット事業は市場がさらに大きくなってこそ投資成果が現れることができる」と話した。反面、キム・ジサンアナリストは「下半期の部品供給問題が解消されれば黒字転換が可能だ」と見通した。

携帯電話事業部門の人材調整方式に対する内部反応は交錯する。LG電子は携帯電話事業を整理し、600人をLGエナジーソリューションなどの系列会社に、2700人は会社内の他の事業部門に再配置した。LG電子関係者は「人によって異なるが系列会社に移動した場合、肯定的な反応が多く、電子に残った人も不満が多くない方」と話した。反面、LG電子労組関係者は「当時、雇用保障を約束し人材を再配置したが、今年に入って低成果者評価や希望退職などで人材を調整し約束をきちんと守ったとは思わない」と話した。

LG電子の携帯電話事業撤退以後、韓国のスマートフォン市場ではサムスン「Galaxyフォン」とアップル「iPhone」の占有率が目立って増えた。市場調査機関のストラテジック・アナリスティックス(SA)によると、サムスン電子の昨年の国内スマートフォン市場占有率は70.5%で前年より7.9%ポイント、アップルは24.4%で6.5%ポイント増えた。2020年LGフォン占有率11.0%が消えた席を両社が分け合った格好だ。今年に入っても中低価格フォン市場をめぐって激戦が起きている。アップルは普及型スマートフォン「iPhone SE」を発売し、サムスン電子は「Galaxy A53」で対抗した。ここにモトローラと中国のシャオミがそれぞれ中低価格フォン「モトG50 5G」と「レッドミーノート11」を持って加勢する姿だ。

提供元・コリア・エレクトロニクス

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