くも膜下出血とは
くも膜下出血は、くも膜と呼ばれる脳の表面にある膜と脳との空間への出血で、脳動脈瘤の破裂が原因であることがほとんどである。血圧が乱高下を繰り返した後に、くも膜下出血を起こすことがあることから、急激な血圧の上昇が、くも膜下出血の誘因となることが想像される。
わが国では、コロナワクチン接種後に、79人のくも膜下出血による死亡例が報告されている。ワクチン接種当日に12人、翌日に26人、2日後に9人、3日後に12人とワクチン接種直後にその発生は集積している(図2)。
また、ワクチン接種直後に高血圧が見られることはよく経験されている。自衛隊接種センターで経験した急性期副反応発生例の報告では、血圧測定された203例のうち、34例(17%)に最高血圧が180または最低血圧が110を超える高血圧がみられた。
アンギオテンシン変換酵素(ACE2)は、ヒトの細胞の細胞膜に存在する膜タンパクである。アンギオテンシンⅠはアンギオテンシンⅡに変換され、さらに、アンギオテンシンⅡはACE2の働きでアンギオテンシン(1−7)に変換される。アンギオテンシンⅡは血圧を上げる働きがありアンギオテンシン(1−7)は血圧を下げる働きがある。
新型コロナウイルスは、ウイルスの表面にあるスパイクタンパクが、ヒト細胞の表面にあるACE2に結合してヒトの細胞内に進入する。スパイクタンパクが結合するとACE2の酵素機能は低下するが、コロナワクチンを接種するとスパイクタンパクが体内で産生され、ウイルスが感染した時と同様に、ACE2に結合して酵素機能は低下する。その結果、血中のアンギオテンシンⅡは増加、アンギオテンシン(1−7)は減少するので、血圧は上昇する。
以上を考慮すると、コロナワクチン接種直後に急激な血圧上昇が起こり、脳動脈瘤が破裂して、くも膜下出血を起こす可能性は十分ある。
コロナワクチンの接種後に死亡した事例の原因は多岐にわたるが、3つのグループに大別できる。第2グループは、今回紹介したくも膜下出血やITPのように、コロナワクチン以外にも原因はあるが、発症機序から考えてワクチンの関与を否定できない疾患である。
通常の診療では、第2グループに属する疾患ではワクチン接種と疾患発症とに時間的関連性があれば、疾患の原因とみなされる。しかし、厳密に因果関係を求められると、ワクチン接種後に発症する症例のみに見られる特異的なマーカーがないことから、その証明は医学的には不可能である。しかし、因果関係がないとも言い切れないことから、検討部会では99%の症例は因果関係を評価不能にしている。
ワクチン接種後に死亡した患者を持つ家族は、副反応検討部会の判定を最後の拠り所として期待しているが、厳密な医学的判定は不可能であることを理解している人はどれだけいるだろうか。
医学的に因果関係を判定することが不可能なことを考慮すると、ワクチンによる健康被害の救済には何らかの政治的判断が必要であろう。韓国では、一定期間内の新型コロナワクチン接種後の死亡者全員に対して、5000万ウオン(約480万円)の慰労金を支給している。一つの方法である。
文・小島 勢二/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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