6月10日に入国制限が従来の1万人が2万人に拡大するなど、いよいよ2年4カ月に及ぶ新型コロナウィルス感染不況に別れを告げるような動きが本格化している。こうなってくると連日全国で2万人、東京で2000人という新規感染者が判明しているにしても、ちょっとやそっとのことでは世の中の大勢が逆戻りするということはないのではないかと思えてくる。報道もそうした明るい面をクローズアップしてきている。「大勢」というのは恐ろしいものである。

発表されたばかりの5月度の小売業の売り上げ速報でも、3年ぶりに行動制限のない5月の大型連休だったことでの外出増や、月末にかけての気温上昇が後押しして今後の期待を抱かせる結果になった。

まず、専門店チャネルだが、今期(2021年9月1日〜)になってから苦戦が続いているファーストリテイリングの「ユニクロ(UNIQLO)」は、国内既存店(709店)とECの売上高は前年同月比17.5%増と大躍進した。客数9.6%増、客単価7.3%増。さらに直営店(785店)とEコマースを合わせた売上高は前年同月比19.8%増だった。累計(2021年9月1日〜2022年5月31日)の既存店売上高も前年比4.4%減まで回復している。

しまむらの「ファッションセンターしまむら」は、4月21日〜5月20日において前年同月比1.8%増だった。昨年の同じ期間が同31.2%増と大幅増だった反動だが、これで7カ月連続で前年越えを達成した。

良品計画の「無印良品」は国内直営店とECの売上高が5月度前年比12.4%増だった。

アダストリアは、同31.9%増。

ユナイテッドアローズは同41.4%増という驚異的な前年比をマーク。前期は松崎善則新社長の絶対黒字達成のための不採算店舗の閉店を断行したため、今年5月はその結果を反映した大幅売り上げ増である。

一方、百貨店でも5月は大幅な売り上げ増を記録している。

・J. フロントリテイリング:大丸松坂屋百貨店など百貨店事業の売上高は前年同月比79.3%増。
・エイチ・ツー・オーリテイリング百貨店事業の全社合計売上高は、前年同月比199.8%増。
・高島屋:高島屋各店及び岡山、岐阜、高崎を含めた国内百貨店合計は同63.3%増(2019年同月比-6.7%)だった。
・そごう・西武10店の売上高は同33.6%増(2019年同月比-4.4%)。
・三越伊勢丹HD:三越伊勢丹は前年比103.1%増、国内グループ百貨店は同+27.7%、国内百貨店トータルの前年比は+64.3%だった。

いずれもラグジュアリーブランドや宝飾品などの高額商品、服飾雑貨、また気温上昇に伴う夏物衣料などが好調には推移したという。

特に大都市圏の店舗で前年比倍増は当たり前の活況だ。阪急うめだ本店は+502.3%増(約6倍)というとんでもない数字をマークしているのが注目された。これに比べると地方店の伸びはそこまではいっていない。6月10日以降はこれにインバウンドが加わってくるので、さらに回復に拍車がかかりそうだ。

文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO

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