ニートと言えば勝手に「若者」をイメージすることが多いのではないでしょうか。
しかし、ニートは「働く意思を失くし、仕事をしていない人」のことであって、決して年齢層の若い人だけに限定した言葉ではありません。
20代のニートもいれば30代、40代のニートもいるのです。
しかし、年齢が上がるにつれ「ニートでいることがより深刻な問題」に思えるもの。
それは、高齢になるにつれて脱ニートはより難しくなるからです。
今回の記事では
- 高齢ニートの末路
- 高齢ニートになる原因
- 高齢ニートにならないための対策
について解説します。
「このままじゃいつまでもニートから抜け出せない!」と焦りを感じるニートのあなたにぜひ読んでいただき、今後の行動について考えるきっかけにしていただきたいです。
目次
高齢ニートの末路3選
高齢ニートになってしまう5つの原因
高齢ニートの末路3選
高齢ニートになってしまうと、その先にはどのような末路が待ち受けているのでしょう。
先に伝えておくと、高齢ニートの末路は悲惨です!
まずは「高齢ニートになるリスク」を知っていただくために、この章で高齢ニートの行く末について考えられる3つの状況について解説していきます。
ダルマちゃん 怖くなってしまうかもしれないけれど、今から行動を起こせば回避できるから安心してね!
1. 一生独身
高齢ニートになってしまうと、結婚するチャンスをことごとく逃し、一生独身でいる可能性が濃厚になります。
特に女性は、結婚相手に「しっかりとした経済力」を求めている率が著しく高いです。
裏を返せば、男性ニートでいる以上結婚できる可能性はかなり低くなってしまうということ。
▼結婚相手に求める条件
女性全体のうち54.1%が結婚相手の男性に「しっかりした経済力/収入がある」という条件を求めていることが分かります。
ユーくん まあ、当然と言えば当然だよね。収入がない相手との結婚なんて、その先苦労するのが目に見えてるから。
40代で仮にニートで独身だとして、婚活を始めたところでまずうまくいく見込みはありません。
若ければニートから挽回して就職し、その後結婚する未来は十分に描けますが、高齢ニートには挽回のチャンスさえなくなってしまうのです。
2.ホームレス
高齢ニートの中には、住処を失いホームレスになる人もいます。
ホームレスなんて、あまりにも極端な例だと思うかもしれませんが、現実に十分起こり得るのです。
若い頃はニートでも親に養ってもらうことができます。
実家があり、住む場所にも困らなかったでしょう。
ダルマちゃん 実際ニートのほとんどは実家暮らし。親がいるから生きていけているんだ。
しかし、親はいつまでもいるわけではありません。
自分自身が高齢ニートになるころには、親が他界してしまうことも十分考えられます。
実家を失えば、自分で家賃を払わない限り家を確保することもできないのです。
ユーくん ホームレスなんて悲惨すぎる‥。こんな悲惨なことにならないためにも、なんとしてでも若いうちに脱ニートしなきゃ!
3.孤独死
高齢ニートの末路で最も衝撃的なのが孤独死。
孤独死という言葉の持つインパクトはものすごいですが、これも実際に起こり得ること。
結婚できず家族を持つことも叶わなかった高齢ニートは、そのまま収入も家もなく一人寂しく生涯を終えます。
親が他界し、完全孤独になってしまったニートが、生きる希望を完全に失ってしまい自ら命を経つ例もあります。
このように、ニートを続けて高齢ニートになってしまった先には、孤独死という極めて絶望的な終焉が待ち受けていることも知っておく必要がありますね‥。
高齢ニートになってしまう5つの原因
ユーくん 高齢ニートの末路が悲惨すぎて恐ろしかったよ‥。
ダルマちゃん そうだね。でも現実をきちんと理解して前に進む必要があることを今ニート状態にある全ての人に知って欲しかったんだ。
高齢ニートになるメリットなど一つもないことがあらためてよく理解できたのではないでしょうか。
しかし、実際には高齢ニートになる人たちは実に大勢存在しています。
一体なぜ高齢ニートになってしまうのか、この章ではその原因として考えられる以下の5つについて解説してきます。
- 就職率が下がる
- 人材としての価値がなくなる
- 新人を経験したくない
- 年齢を理由にあきらめることが増える
- 専門スキルがない
では1つずつ細かく見ていきましょう。
1. ニートの継続期間の長さが就職率に影響する
ニートは長く続けることで、より就職率が低くなってしまうもの。
高齢ニートのほとんどが、脱ニートに手こずり長くニート期間を継続していることを考えれば、就職の難易度はかなり高くなっていると言えます。
▼フリーター期間別に見る正社員になれた者の割合(20~29歳)
上記は、フリーター継続期間別に見る就職率のデータです。
ニートではなくフリーターではありますが、結局フリーターも「正社員でない」点においてはニートと同じ。
このデータから以下のことが分かります。
- フリーター期間が伸びると就職率が下がる
- 3年超のフリーターの就職率は5割に満たない
- 半年未満のフリーターの就職率は6割を超える
半年未満なら、フリーター期間があってもそれほど就職には影響を及ぼさないとも言えます。
そして、注目すべきは3年超のフリーター。
就職率が5割を切るということは、2人に1人は就職できないままフリーターから抜け出せないということです。
ニートの場合は、これらの数字がさらに厳しいものになるのは目に見えていますね。
ダルマちゃん 高齢ニートは、ニート期間が長いことでさらに脱ニートが難しくなってしまう。脱ニートしたいと思っても現実がそれを許してはくれないんだ。
2.年齢と人材としての価値は反比例する
非常にシンプルな言い方ですが、企業は基本的に「人材は若いほどいい」と考えています。
もっと言えば新卒が最も人材としての価値が高いです。
ユーくん でも新卒なんて若いだけで別に何ができるってこともないのになんで?
ダルマちゃん 能力がなくても伸びしろがある、それが新卒や若手新人の最大の強みなんだ。
▼企業目線で見た新人の年齢による違い
若い新人 | 高齢の新人 | |
教育のしやすさ | スムーズに進む | 指導側が年下だと気まずい |
職場の人間関係 | 構築しやすい | 構築しづらい |
企業のカラーの浸透度 | 浸透しやすい(他社を知らない) | 浸透しづらい |
将来見込める貢献度 | 高い(先が長い) | 低い(先が長くない) |
この表を見て分かる通り、年齢の高い新人は企業にとって「とにかく扱いづらく伸びしろが少ない」存在なのです。
高齢ニートになってしまう理由は、年齢を重ねれば重ねるほどに、企業にとって価値の低い人材となってしまうことが原因でもあります。
ダルマちゃん よほど突出したスキルや経験でもあれば若くなくても欲しがられるけど、そうでなければまず興味さえ持ってもらえなくなるんだ。
3.新人を経験することに抵抗がある
ニートは一度働く意思を完全に失くしてしまった人たちです。
そんなニートがある程度の年齢を重ね、「もういよいよ働かなくては」と一念発起したところで、以下のことが頭をよぎるのです。
- 新人からのスタート
- 自分よりかなり年下の先輩や上司
- 同期の新人が全員かなり年下
新しく社会人として再スタートを切るわけですから、完全なる新人としてスタートするのは当たり前のこと。
しかし、年齢を重ねるほどに「新人からやり直すこと」に対する抵抗感がどんどん強くなってしまいます。
そこには、年齢によるプライドや、自分に対する自信のなさ、などが関係していると考えられます。
ダルマちゃん 結局抵抗を感じるあまりに、就活にも100%の気持ちで挑むことができず、その結果やはり仕事が見つからない、となってしまうんだ。
4.年齢を理由にあきらめることが多くなる
ニートの年齢は非常に重要なポイントです。
当然若い方がニートから抜け出すことの難易度も下がりますが、これは一体なぜでしょう。
その理由は以下の2点。
- 企業が若い人材を求めている
- 年齢条件を満たせず応募できない求人がある
高齢ニートが意を決してハローワークに行ったけれど、実際応募できる求人が思っていたよりもかなり少なくて絶望した、という声はよく耳にします。
30代以上のニートは脱ニートを目指す過程で、以下のような経験をするものです。
- 年齢条件を満たす求人があまりにも少ない
- 年齢が理由で面接で落とされる
このような経験が増えるにつれ、「自分の年齢ではもう無理だろうな」と考える、いわゆるあきらめ癖が付いてしまうのも無理はありません。
5.専門スキルなしに正社員就職が難しい
ここまで、脱ニートには若者の方が有利であるという話をさんざん繰り返してきましたが、これはあくまでも「スキル・実績なし」の場合です。
後でも詳しく解説しますが、年齢を挽回できる唯一の方法は「専門スキルを身につけ実績を積み上げること」です。
ということは、高齢ニートになってしまう人の多くはそもそもスキルが身につくような専門性の高い仕事に就いた経験がないと言えます。
▼ニートの人たちの過去の職業歴
業種 | 割合 |
---|---|
専門技術職 | 3.1 |
事務職 | 9.40% |
営業販売職 | 22.80% |
サービス職 | 31.10% |
保安職 | 0.80% |
農林漁業職 | 2.40% |
運輸通信職 | 4.60% |
生産労務職 | 25.10% |
その他 | 0.6% |
参照:財団法人社会経済生産性本部 「ニートの状態にある若年者の実態及び 支援策に関する調査研究報告書」
これは若年者ニートのデータではありますが、過去にどのような仕事をしていた人がニートになりやすいかが顕著に表れていますね。
- 販売職
- サービス職
- 生産労務職
(清掃・工場などでの作業メインの仕事)
これらの職業を経験した後にニートになっている人が明らかに多いことが分かります。
確かに、販売・サービス・作業系の仕事では、その先のキャリアに活かせるスキルは身につきにくいです。
高齢ニートになる人の多くは、このように「自分にはこれができる!」と誇れるスキルがありません。
そのため、「若くない・スキルもない」という二重苦を背負ってしまうことになり、脱ニートすることができないアリ地獄にはまってしまうのです。