組合員目線で核商品づくり
環境対策、コスト改善も重点

21年度の概況について日本生協連冷凍食品部の長門哲也部長は「需要増による配送体制のキャパオーバーや海外工場でのクラスターなど、商品供給を制限せざるを得ない状況もあった。しかし、在宅時間の増加を背景に調理冷食が牽引し、好調に推移した」と話している。供給制限などによるチャンスロスは冷凍食品の供給の2%と見ており、22年度は、複数工場の配置や会員生協の物流インフラ整備で安定供給をめざす。

また、22年度の重点政策として①核商品づくり=組合員目線でブラッシュアップ、②コスト改善=原価の上昇傾向に対し、商品設計見直し、③価値訴求型=おいしさや価格のほか、使い勝手、健康ニーズ、環境配慮型の商品開発追求など、商品力アップに取り組む。

冷凍物流の再編
キャパ対策とアイテム拡大

売上高5000億円超、宅配に占める割合は約25%に! 生協の冷凍食品販売戦略
(画像=21年11月に稼働したコープこうべの「見津が丘冷凍集配センター」(兵庫県神戸市)、『DCSオンライン』より引用)
売上高5000億円超、宅配に占める割合は約25%に! 生協の冷凍食品販売戦略
(画像=1日最大35万点をピッキングする最新鋭の冷凍専用センターである、『DCSオンライン』より引用)

こうした冷凍食品事業の動向を受け、会員生協や事業連合では、要冷の宅配物流基盤整備が進んでいる。この1年を見ると、コープこうべの「新冷凍集配センター」(兵庫県神戸市)、福井県民生協の「要冷物流センター」(福井県福井市)を新設。さらにコープデリ連合会は冷凍専用では生協最大規模の「印西冷凍センター」が今年6月にリニューアル稼働する。

今後は、パルシステム連合会や、東都生協、生活クラブ連合会、コープ九州事業連合なども要冷物流センターの新設・リニューアル計画を進めている。大幅な受注増に対応した物量キャパのアップと商品アイテム数の拡大が狙いだ。

近年の生協の宅配事業の動向では、ドライグロサリー分野がほぼ横ばいに対し、冷蔵を含めた要冷食品が事業成長をけん引している。食品宅配の市場が拡大し、競争が強まるなか、要冷品事業が成長のカギを握る。

提供元・DCSオンライン

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