さらに人件費インフレの課題

スーパーマーケットが直面するインフレが「長い戦い」になる理由と3つの対策
(画像=コスト増を見据えつつ進化を続けるヨークベニマルのデリカ売場、『DCSオンライン』より引用)

そのヨークベニマル、今期からデリカの子会社ライフフーズを統合した新体制になりました。デリカ売場は子育て世帯へのアプローチを強めており、昨年の新店・改装店から「with mom」の看板を掲げるようになっています。売場の見せ方だけでなく、普段使いの煮物から見栄えにもこだわったメニューまで、カテゴリー単位の商品開発が進化を続けています。

この進化を今後も継続していくために、デリカ部門では年初から単品ごとに必要な値上げを進めました。一部店舗でテストして、価格を上げても販売点数が落ちなければ全店に広げてきたと言います。

デリカ事業本部長の松崎久美取締役は、「3年後の人件費を見越して必要な価格対応を進める」と言います。目下の原料高騰に対処するのはもちろんですが、将来の経費増を見越せば、ここで値上げを躊躇してはいられないという判断です。必要な値上げは5月上旬までに済ませて、さらに状況の推移を注視するそうです。

確かに政府は、以前からあらゆる産業に賃金上昇を求めて来ましたし、首相は去年は所得倍増と言い、今年は資産所得倍増を掲げたり、何にせよ生活者の手取りを劇的に増やしたいと考えているようです。もとより労働人口の減少は深刻な社会課題です。

エネルギー価格も調達コストも人件費も上がる20年代は、国内スーパーが30年以上も経験してこなかったインフレ局面での競争になっていく気配です。

提供元・DCSオンライン

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