映画やアニメ、マンガなどでよく見聞きする気がする「ニトロエンジン」。ニトロを使うともの凄いスピードやパワーが出るみたいだけど、ニトロなんて爆発したりして危なそうだし、現実的にはそんなのなしでしょ?と、多くの皆さんがそんなイメージをしていませんか?
今回はそもそもニトロを使用したエンジンがどういうものなのか、そしてそのシステムを使用するとどんなすごい事になってしまうのかをまとめてみます。
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ニトロエンジンってどういうもの?
大人気映画「ワイルド・スピード」にもニトロを使用したシーンが登場
ニトロエンジンってどういうもの?
ニトロを使ったエンジンの事を詳しく知らない皆さんは、ニトロを使ったエンジンというとニトロというものを燃料として使ってもの凄いパワーが出るエンジンというイメージをお持ちではないでしょうか。また、ニトロを使ったエンジンの総称を「ニトロエンジン」という名称だと思っていたり、「ニトロ」というのが「ニトログリセリン」の事だと思っていたり。私自身も正直、以前はそうでした。 しかし、実際はニトログリセリンを燃料に使ったエンジンではなく、「ニトロエンジン」などという呼称のエンジンも正しくは存在しないのです。では、ニトログリセリンではないニトロとはなんなのでしょうか?
ニトロを使用するエンジンのニトロとは、「ナイトラス・オキサイド(Nitrous Oxide/亜酸化窒素)」の事を指します。また、このニトロは燃料自体として爆発・燃焼するものではなく、一般のエンジンが吸気する空気と同様に燃料に混合して、燃料の燃焼を助けます。 ではなぜ、ナイトラス・オキサイドを使用すると爆発的なパワーアップになるのでしょうか。それは、通常の空気の2.5倍の酸素を含んでおり、より燃焼効率が高いためです。 そして、その仕組みをナイトラス・オキサイド・システム (Nitrous Oxide Systems/NOS)と呼んだりします。
ちなみに「NOS」という名称は、現在一般的にニトロを使用したエンジンを指すイメージになっていますが、実はホーリー・パフォーマンス・プロダクツ社という会社の米国における登録商標なのです。したがって、同じような仕組みのシステムでも、メーカーによって商品名称やニトロの噴射方式も異なります。 なので、ニトロを使用したエンジンを日本語で正しく言うとすると「亜酸化窒素噴射システムを利用したエンジン」ということになるでしょうか。
大人気映画「ワイルド・スピード」にもニトロを使用したシーンが登場
大人気カーアクション映画「ワイルド・スピード」の歴代作品でも度々ニトロシステムを使用したカーレースシーンが登場しました。紹介の動画では、ちゃんとステアリングに亜酸化窒素を意味する「N2O」の表示もされています。
ちなみに装備する事によりものすごくリスクのありそうなニトロシステムですが、きちんと電子制御で正確に噴射を行えば、ニトロ使用中のある程度の負担以外はあまりリスクもないようです。