「新しい魚」に目を向ける動き
なお北海道では、イワシと同様にブリも近年になって穫れ始め、今では毎年のように豊漁となっています。サケのために仕掛けた定置網にもブリばかりが入ってしまうということもしばしばです。
当地ではブリももともと食べる文化がなく、そのため道はブリを使ったレシピのコンテストを開催するなどして、食材としての知名度アップに尽力しています。
イワシもブリも他の地域では人気の食用魚であり、このような話を聞くと「なんて贅沢な、そんなワガママを言っていたら魚が食べられなくなるぞ」と思ってしまうこともあるでしょう。
しかし魚という食材は、他の食材と比べても地域性・偏食性の強い食べ物です。とある地域でどんな魚を食べるかは、その地域の食文化と密接に関係しているため、どんなに美味しい魚であろうと、その食文化のないところでは需要がない「未利用魚」となってしまうものなのです。
ただそうはいっても、海洋温暖化を止める手立てが現時点で見つかっていない以上、今後も温暖化は進行し、漁獲可能な魚種は変わり続けるのは間違いありません。サンマやイカの幻を追い続けた結果、北海道の漁業ごと崩壊してしまっては本末転倒。そしてこれは北海道だけでなく、日本全国における問題ともいえるでしょう。
今こそこのイワシやブリのような「新しい魚」に目を向け、先入観なくその美味しさを楽しむというのが、我々日本の魚好きに課せられた使命なのではないでしょうか。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
提供元・TSURINEWS
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