「新しい魚」に目を向ける動き

なお北海道では、イワシと同様にブリも近年になって穫れ始め、今では毎年のように豊漁となっています。サケのために仕掛けた定置網にもブリばかりが入ってしまうということもしばしばです。

当地ではブリももともと食べる文化がなく、そのため道はブリを使ったレシピのコンテストを開催するなどして、食材としての知名度アップに尽力しています。

イワシもブリも他の地域では人気の食用魚であり、このような話を聞くと「なんて贅沢な、そんなワガママを言っていたら魚が食べられなくなるぞ」と思ってしまうこともあるでしょう。

しかし魚という食材は、他の食材と比べても地域性・偏食性の強い食べ物です。とある地域でどんな魚を食べるかは、その地域の食文化と密接に関係しているため、どんなに美味しい魚であろうと、その食文化のないところでは需要がない「未利用魚」となってしまうものなのです。

これからの日本に【新しい魚種を食べる取り組み】が必要なワケとは?
(画像=関東の「新しい魚」アイゴ(提供:PhotoAC)、『TSURINEWS』より 引用)

ただそうはいっても、海洋温暖化を止める手立てが現時点で見つかっていない以上、今後も温暖化は進行し、漁獲可能な魚種は変わり続けるのは間違いありません。サンマやイカの幻を追い続けた結果、北海道の漁業ごと崩壊してしまっては本末転倒。そしてこれは北海道だけでなく、日本全国における問題ともいえるでしょう。

今こそこのイワシやブリのような「新しい魚」に目を向け、先入観なくその美味しさを楽しむというのが、我々日本の魚好きに課せられた使命なのではないでしょうか。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

緊急事態宣言は解除されましたが、外出については行政の最新情報を確認いただき、マスクの着用と3密を避けるよう心がけて下さい。一日も早く、全ての釣り場・船宿に釣り人の笑顔が戻ってくることを、心からお祈りしております。

提供元・TSURINEWS

【関連記事】
ゼロから始める「カヤックフィッシング」 マダイを釣るためのキホン5選
船長に聞く「沖釣り初心者の心得」:東京湾LTアジ 厳選船宿8選も紹介
大豆ではなく「魚で作った」味噌とは? 実は各地に存在する発酵魚介食材
干物にすると飛躍的に美味しくなる海釣りターゲット4選
釣り編集者が上天草へお試し移住 移住家族に聞く「リアルな本音」とは?