2022年の参院選では説明責任がある

国籍で嘘をつくのは、学歴より深刻です。国会議員は内閣総理大臣になることができるからです。もし日本と台湾の間で国境紛争が起こると、彼女はどっちの国の立場で外交交渉をするんでしょうか? 外交官には「二重国籍は禁止」という規定がありますが、外交官を指揮する総理大臣が二重国籍では話になりません。

戦争が起こると、もっと大変なことになります。総理大臣は自衛隊の最高指揮官なので、彼女は台湾政府から台湾人として戦争を指揮するように求められるでしょう。国籍の中でいちばん大事なのは兵役だから、それが彼女の台湾国民としての義務です。

もうよい子のみなさんでもわかりますね。二重国籍の総理大臣が外交や国防を指揮することはできないのです。アメリカ合衆国憲法では、大統領を「アメリカ生まれの米国民」に限っています。日本でも総理大臣になる資格のある国会議員には、二重国籍を認めないのが当たり前です。

このために国籍法を改正しようという人もいますが、上に書いたように選管が立候補のとき国籍をチェックすればいいので、法改正の必要はありません。逆に国籍法を改正して二重国籍を認めるべきだという人もいますが、これも必要ありません。今は法務省の国籍チェックはゆるく、在日外国人が肩身のせまい思いをすることはありません。

二重国籍の人は30万人とも50万人ともいわれ、すべてきびしくチェックしたら入管業務がまひしてしまうので、日本は実質的に二重国籍を認めています。国家権力を行使する国会議員や公務員だけ、国籍チェックをきびしくすればいいのです。

このように国籍は「排外主義」か「多文化の共生」かというような話とは関係ない手続き論です。ヨーロッパでは二重国籍を認める国が多いのですが、テロ対策などのセキュリティで二重国籍は好ましくないという方向になっています。日本では外交官は二重国籍を禁じられていますが、自衛官には二重国籍を禁じる条項がありません。

日本の国籍法は柔軟に運用されているので、今のままでいいと思いますが、優秀な人材を獲得する障害になるなら改正したほうがいいでしょう。国会議員や自衛官などは、明文で二重国籍を禁止すべきです。

ただ国会議員は別です。蓮舫さんのように違法行為がばれてからも1年近く逃げ回って「排外主義には屈しない」などと問題をすりかえる嘘つきには、国会議員の資格がありません。2022年の選挙では、改めて説明が必要だと思います。

文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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