ガーシーは凄い・・・・だが

ガーシーさんの凄さは色々あるが、その中でも、凄いと思ったのは、第一に、ファン1人1人に返事するところである。私も今回連絡を取ったが、一度、見かけたくらいの自分に対して返事をしてくるというところはびっくりした。

第二に、相手とのコミュニケーション能力である。特徴的なのが、おだてたり、突き放したり相手と距離感の詰め方や配慮の仕方。人と出会ったら最初に「マウンティングをとる」と本人もいうように、そこでペースを握って、コミュニケーションを優位に進める。相手はその話術に引き込まれてしまうわけだ。

第三に、情に厚いところ。情に厚く、友達を大切にしていることもあって、物凄い人脈を作りあげた。友達をとても大切にしているから、友達から大切にされない行為には許せないのかもしれない。

ガーシーさんの暴露は、「報道の自由」にも問題点を投げかける。大手メディアは、ある特定の事務所のタレントの宣伝活動やスキャンダル・不祥事を「芸能ニュース」として取り上げる一方、ガーシーさんの暴いた情報については全く取り上げない(芸人さんはネタとして使っているが)。

相手への厳しい要求をYouTubeで発信し、相手の行動変革を求める行為は、政治家としては「使える」。「めくる」「晒す」実績を見せた点で、不正追及などに活躍する可能性は大いにある。

しかし、他人への攻撃を公言しているということは、他人との「もめ事」が現在、存在するということ。しかも、世間の注目を集めるレベルの「もめ事」である。政治家になる前に、まずその「もめ事」を解決してもらいたいし、もめるにしてももっと穏便に解決できないのか・・・と多くの人は思うはず。

個人的には、ガーシーさんが、自分なりに社会運動をはじめたり、同じ目的を持つ政治家を見つけて一緒に活動する方向でいって欲しいなあと思う。

例えば、芸能人の不祥事追及や芸能界の浄化、不祥事を起こした芸能人を企業がCMに起用する問題、大手芸能事務所や有力者に忖度する大手メディアの報道姿勢・報道の在り方の問題、芸能人にもてあそばれた被害者の救済、ギャンブル被害者救済などなどガーシーさんができることはたくさんある。

政治家になるというのではない、もっと別の形で社会的な活動はできるはず。そして、政治家になる前に自身の失敗や被害者への謝罪と贖罪を済ませることが先だと思う。

一方、ガーシーさんに糾弾された人たちは、ガーシーさんの言葉に対してきちんと説明する社会的責任があるだろう。「かっこいい経営者」を自称するインフルエンサーみたいに「事実無根」「誹謗中傷を受けた」と主張するだけで具体的に何も説明しないのは困るが。

文・西村 健/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

【関連記事】
「お金くばりおじさん」を批判する「何もしないおじさん」
大人の発達障害検査をしに行った時の話
反原発国はオーストリアに続け?
SNSが「凶器」となった歴史:『炎上するバカさせるバカ』
強迫的に縁起をかついではいませんか?