日本経済新聞によれば、2022年4月の消費者物価指数は生鮮食品を除く総合指数が、前年同月比で2.1%上昇しました。遂に日本の消費者物価指数が日銀が目標とする2%を超え始めたのです。
それでもまだ諸外国に比べ、そのスピードはまだ緩慢で、金融緩和政策を変更するほどのインパクトにはなっていません。
インフレが進む中で、賃金の上昇が実現しなければ、実質的な収入は減り始めることになります。
また「節約アドバイザー」のような人たちが、支出を減らす方法をアドバイスする機会が増えそうです。
しかし、電気をこまめに消したり、商品をまとめ買いしたり、ポイ活をしたりしても、大した効果はありません。むしろ、心まで貧しくなってしまうデメリットの方が大きいのではないでしょうか?
この状況がさらに続けば、日本の個人金融資産2,000兆円の過半数を占める円の預貯金が、いよいよリスクマネーとして動き始めるのではないかと期待しています。
預金から投資へと言っても、株式や不動産はハードルが高く、今まで投資をしなかった人にとっては勇気を出して始めることがなかなかできません。
しかし、外貨保有であれば、通貨を交換するだけですから、投資としてのハードルは相対的に低そうです。
また、今後コロナ渦が落ち着き、海外に行く人が増えれば、外貨ニーズも高まります。
預貯金の1,000兆円余りのうち、10%でも100兆円です。円の預金を持つことのリスクが理解され、外貨保有がトレンドになれば、一気に円から外貨への通貨シフトが起こる可能性があります。
日本人は、一般に現状維持バイアスが強く、ギリギリまで我慢をして、変化を何とかやり過ごそうとする傾向があります。
今後、さらにインフレが進み、賃金が上がらない状態が続き、追い込まれなければ日本人の投資行動は変わりません。
だから、変化を生み出すきっかけと考えれば、私にはインフレは決して悪いこととは思えないのです。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年5月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。
文・内藤 忍/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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