約45億年前、地球の衛生として誕生した月は、現在の地球と同等の磁場を持っていた可能性があります。
これはまだ活動の激しかった初期の太陽が放つ強力な放射線から、地球の大気を守ってくれていたかもしれません。
NASAの研究者により10月14日に科学誌『Science Advances』で発表された研究によると、初期の月は地球を太陽風から守る盾であり、それが最終的に地球を生命の居住可能惑星に発展させるサポートをしたと報告しています。
月がなければ、現在の我々もいなかったかもしれません。
簡単な月の歴史
主要な理論によると、月は約45億年前、地球がまだ形成されて1億年未満のときに、火星ほどのサイズを持ったテイアという物体が地球に衝突したことで生まれたと言われています。
こうして生まれた月の存在は、重力的な影響によって地球の自転軸を安定させ自転速度を徐々に緩やかなものへと変えていきました。
初期地球の自転は非常に速かったと予想されていて、1日はわずか5時間しかありませんでした。しかし、月の影響で自転速度が徐々に遅くなっていきます。すると今度は、角運動量保存の法則に従って、月が少しずつ地球から遠ざかっていったのです。
初期の月は今よりずっと地球に近い場所にあり、40億年前の時点でその距離は約13万キロメートル程度でした。現在地球と月の距離は約38万キロメートルなので、これは現在の距離の約3分の1です。
初期の月の磁場
地球のコアは溶けた鉄とニッケルで出来ており、その流動が磁場を生み地球を取り巻く磁気圏を作り出しています。
これは太陽風によって飛ばされてくる放射線から地球の表面を守り、大気が宇宙へ吹き飛ばされるのを防いでいます。
一方、月のコアは小さいため、地球のように長続きする磁場は持てなかっただろうというのが、一般的な科学者たちの見解です。
しかし、かつて月も磁場を持っていたという証拠がアポロ計画から確認されています。
アポロ12号は月に磁力計を持っていき、月面の磁場が0ではないということを発見しました。それは地球磁場の1000分の1程度のものでした。
現在の月に磁場は存在していないので、これは月面の岩石に保存されたかつての月の磁場の記憶と呼ぶべきものです。
それがどのようなものであったかは、月の岩石サンプルを地球へ持ち帰り、これを分析して岩石内部の磁化された痕跡を抽出して研究する必要がありました。
幸いアポロは大量のサンプルを地球へ持ち帰ってくれました。これが現代技術で分析され、かつての月の磁場の様子が明らかになってきたのです。
研究の結果、月の岩石のいくつはかなり強力に磁化されていることがわかりました。ここから、月の磁場は約35億年前まで地球と同等の強さを持っていたと考えられるのです。
月は地球同様に形成当時は非常に高い熱を持っていました。それはオーブンから取り出されたばかりのケーキのようなものです。これは質量が大きいほど冷却に時間がかかります。
地球は現在もまだコアに熱が残っていますが、月はそれほど長くは持ちませんでした。しかし、小さな月のコアも初期のころは熱く流動しており、磁場を生み出していたのです。