現在、世界の約8億4000万人は電気を利用できません。
さらに国連は、電気需要が2035年までに70%増加すると予想。
こうした世界規模の需要に応えるため、コロンビアの企業E-Dinaは、塩水を電気に変換するランタン「WaterLight」を開発しました。
ランタンに海水を補充するだけで明かりを灯すことができ、緊急時には尿を活用することも可能とのこと。
目次
塩水だけで5600時間発光する携帯ランタン
緊急時にはおしっこで発電できる
塩水だけで5600時間発光する携帯ランタン
新しく開発された携帯ランタン「WaterLight」は筒状になっており、中に塩水を補充することで発電します。
海水などに含まれる塩分がWaterLightの内部のマグネシウムや銅のプレートと反応し、電気エネルギーを生成するのです。
この発電プロセス自体は新しいものではありませんが、E-Dina社は化学反応を長時間継続させる方法を開発し、特許を取得しました。
その結果、500mlの海水を補充するだけで最大45日間発光し続けます。
さらにUSBポートを介して、携帯電話や小型電気器を充電可能。
化学反応が終了したなら、ランタン内部の塩水を入れ替えるだけで繰り返し発電します。
ランタンの寿命は約5600時間であり、使用頻度にもよりますが、2~3年は利用できると言われています。
緊急時にはおしっこで発電できる
WaterLightのメリットはいつでも発電できることです。
ソーラーパネルを用いた太陽光発電は、クリーンなエネルギーとして注目されていますが、天候の影響を受けます。
昼間に発電しておかなければ、本当に明かりが必要な夜間では役に立ちません。
対してWaterLightは、夜間でも塩水さえあればすぐに明かりを灯すことが可能。これはコロンビアの農村部など、電気のない地域の需要をしっかりと捉えています。
漁師たちは夜間や早朝に魚を釣ることができ、職人たちも太陽光に影響されずに作業を続けられます。
ランタンの光が、電気がない地域の生活を向上させてくれるのです。
さらにWaterLightは子供をもつ親にも安心を与えるものとなります。
子供たちがろうそくの火で火傷を負ったり火事に巻き込まれたりするのを未然に防いでくれるでしょう。
もちろん、WaterLightは電気が普及している地域でも役立ちます。
緊急時には尿に含まれる塩分によって発電可能です。
被災したときや山で遭難したときでも、携帯電話を充電したり長時間明かりを灯したりできるのです。
今後、E-Dina社は大量生産バージョンのWaterLightを世界中で展開していく予定です。
参考文献
This Portable Lantern Can Be Charged By Salt Water or Urine
提供元・ナゾロジー
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