クリーンエネルギー戦略の今後の検討のあり方
以上、批判がましく書いてきたが、短期間のうちに、脱炭素一本槍だったクリーンエネルギー戦略に安全保障をねじ込んだ努力は評価したい。関係者は大変な尽力をされたと思う。敬意を表する。
大事なのはこれからだ。参院選、そして年末まで続く予定のこのクリーンエネルギー戦略の検討において、具体的にどのように作りこんでゆくかということだ。
クリーンエネルギー戦略には、電池生産や半導体生産、データセンター整備など、産業政策としても意義のある形に出来そうなものが存在する。政府の産業政策の在り方にはさまざまな議論があるが、いまは世界諸国で産業政策として政府による産業誘致が行われていることから、日本でもやらざるを得ない側面がある。
他方で、高コストで、収益性の乏しい脱炭素投資については、国民負担の観点から見直すべきだろう。エネルギー安全保障には、供給途絶への対応のみならず、安定安価なエネルギー供給も含まれる。
報道によると、首相はこれまで環境の1Eだったが、今後は環境、安定供給、経済の3Eだとおっしゃったそうだ。以前は1Eだったという認識については一言いいたくなるところだが、安全保障と経済の認識を深めて頂いたことを是としよう:
現状では木に竹をつないだだけのクリーンエネルギー戦略だが、今後、安全保障についての議論を深め、単に「脱ロシアの次に脱炭素」とするのではなく、脱ロシアの次に脱中国、脱中東、そして脱・脱炭素を真剣に考えるべきだ。これについては前回詳しく書いた。
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文・杉山 大志/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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