アーノルド・シュワルツェネッガーがまだ若かった頃、彼の最大の弱点はカーフだった。彼はそれを改善するために膨大な時間をかけ、カーフを見事な部位へと作り上げていったのである。今回は疎かにされがちがカーフの鍛え方について解説したい。
カーフが弱点という人は少なくない。よほど遺伝的に恵まれた人以外はカーフの発達に悩んでいたりする。なぜ素質に恵まれなければ、カーフは発達しにくいのか。それは、カーフという部位が刺激に対して頑固だからだ。遺伝的に恵まれている人は、極端な話、何もしなくても立派なカーフをすでに持っていたりする。しかし、ほとんどの人にとってカーフはやっかいな部位なのだ。カーフが発達しない原因の一つに、トレーニング量の少なさが挙げられる。自分ではかなりやっているつもりでも、カーフを刺激する量が足りていないことが多いのだ。
カーフに関しては、他の部位ほどオーバートレーニングを心配する必要はない。カーフはもともと持久力に優れていて、疲労しにくい部位なのだ。というのも、カーフは毎日私たちの体重を支え、歩いたり、走ったり、階段を上ったりする日常的な動きの中で刺激を受け続けている。そのため、カーフレイズ種目を他の部位と同じくらい行ったところで、発達を起こすほどの刺激にはならないのである。
ならば毎日、高重量を使い、十分な量のカーフワークアウトを行えばいいのだろうか。そこまでやればさすがのカーフもオーバートレーニングに陥るだろう。そこで試していただきたいのが、ヒラメ筋と腓腹筋を毎回交互にワークアウトするという方法だ。厳密に言えば、ヒラメ筋と腓腹筋を完全に分離して刺激するのは不可能なのだが、それでも、選択する種目によってどちらか一方をより強調して刺激することは可能である。
カーフを構成しているのはヒラメ筋と腓腹筋で、下腿の裏側に位置している。それに対して下腿の正面、すなわちスネの位置には前脛骨筋という筋肉がある。表も裏も刺激して筋力バランスを整えることはケガの予防にもつながる。また、表も裏も筋発達させることで理想的な厚みを持つ完璧な下腿を作り上げることができるので、ぜひ前脛骨筋の存在も忘れないでほしい。
【1日目:腓腹筋メインのワークアウト】
スタンディングカーフレイズ、ドンキーカーフレイズ、レッグプレス・カーフレイズから選択した種目を25レップ×5セット行う。
一般的に、カーフ種目はハイレップで行われることが多いようだが、ときには高重量を使って8レップ程度のセットを行うやり方も効果的だ。通常は25レップ×5セットを基本とし、2、3週間ごとに8レップ程度しかできない高重量のセットを2、3セット組み込むようにするといいだろう。カーフ種目の動作は丁寧に、特に下ろす動作はゆっくり行うようにすることで、より強い刺激が腓腹筋の深部にまで行き渡り、肉厚な筋肉づくりに貢献してくれるはずだ。
スクワットほど疲労困憊するわけではないが、カーフ種目を正しいやり方で行えば、強烈なパンプアップ感に襲われるはずだ。この強烈なパンプは、しっかりした収縮動作とストレッチが生み出すものだ。そういう刺激こそが筋発達につながるのである。
【2日目:ヒラメ筋メインのワークアウト】
ヒラメ筋のワークアウトではシーテッドカーフレイズを行う。ヒラメ筋は膝をまたがない筋肉なので、イスやベンチ台に座り、膝を曲げた座位姿勢で動作を行う。
ヒラメ筋には超ハイレップのセットを勧めたい。著名なトレーナーでもあるジョン・パリーロ氏は、ヒラメ筋にはセットあたり50~100レップが良いと主張している。もちろん、そこまでハイレップでなくても、通常は20~50レップで1セットを構成し、ときには50~100レップにチャレンジしてみよう。
もちろん、レップ数を増やすならセット数の調整も必要になるので、100レップ行うなら1、2セットだけで十分だ。かかとを下ろしたときにヒラメ筋をしっかりストレッチさせる。特にハイレップで運動を行う際は、ヒラメ筋のストレッチこそ筋肥大に貢献するということを覚えておこう。
【前脛骨筋のワークアウト】
腓腹筋、ヒラメ筋、どちらに組み込んでも構わないが、脛の部分にある前脛骨筋も忘れずにトレーニングしよう。前脛骨筋にはティビア・カーフマシンを使うのが効果的だ。
ティビアとは前脛骨筋のことだが、もちろんこのマシンがなくても、前頸骨筋を鍛える方法はあるので、この機会に覚えておこう。低い位置から引けるプーリーに輪状のベルトを取り付け、それを片足のつま先にしっかり巻き付ける。ベンチ台などに座り、ベルトを巻き付けた側の足を正面に伸ばす。
この姿勢を保ったまま、つま先を脛側に引き寄せると前脛骨筋が収縮する。その後、つま先をまっすぐに伸ばすことで前脛骨筋がストレッチされる。これを繰り返す。レップ数はセットあたり12~20レップがいい。2、3セットも行えば前脛骨筋にかなりの疲労感が得られ、立ち上がるのが困難に感じられるはずだ。完璧なカーフづくりには、下腿正面の前脛骨筋の存在も忘れないようにしたい。
文:William Litz 翻訳:ゴンズプロダクション
提供元・FITNESS LOVE
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