Z世代が年齢を重ねていくことで、メンズコスメの市場はゆるやかに広がっていく
男性に限らず、Z世代は上の世代と比べて美意識が高い傾向があるという。
「Z世代はSNSで自分の写真を投稿するなどして、自分の顔を見る機会が多い。写真加工アプリが発達したことで、現実の顔とのギャップを感じ、理想に近づけたくなる気持ちになりやすいのだと思う」私見かもしれないが、Z世代に人気のある俳優は、新田真剣佑や坂口健太郎、菅田将暉など、中性的な色気のある人が多い印象だ。男性の好みが中性化しているのだろうか。
「男性が中性化しているわけではなく、男だからこうでなきゃという考え方をなくそうという流れを感じる。男性がスカートをはくなど、さまざまなファッションの表現をする人も増えていて、多様性を受け入れる風潮になっている」メンコスのターゲットは、決して特別な男性ではない。「かっこいい、あかぬけたい」と思う普通の男性にメイクを使ってほしいと考えているのだ。
「いつの時代も、男性が憧れるのは女性にモテる人。一昔前は色黒のギャル男がかっこいいという時代もあったように、トレンドは世界的なブランドなどが作っていると感じる。そのトレンドをセレブやインフルエンサーが取り入れれば、一般の人が追随していく」
今後、メンズコスメは女性向けのコスメと同じように進化していくのだろうか。
「すぐには変わらないが、5~10年後には女性と同じようなアイテムを男性が使うようになるのでは。女性のコスメのように色を多用したものではなく、透明マスカラや陰影をつける色合いのアイシャドウなどを男性が使うようになると思う」
こうしたことからかならぼでは、2022年5月に自社が手がける女性向けブランド『Fujiko』とメンコスの共同開発で、男女年齢関係なく使用できるというコンセプトの「全人類リップ」を発売する。
「保湿力は高いのですが、テカテカにはならず、スムースな仕上がりになるリップクリーム。男性が受け入れやすいように、メイク感が強くなりすぎないようにした」全人類リップはFujikoの販路に載せて、メンコスの認知をさらに広げていく施策だ。
リップクリームは日焼け止めと同様に男性が抵抗なく使いやすいアイテムのひとつでもある。今後も、このようなZ世代の男性が必要だと感じるアイテムを企画していくという。
今後、メンズコスメ市場はどう成長していくのだろうか。
「メイクに関しては、男性より女性のモチベーションが圧倒的に高く、女性コスメと同様の大きな市場になるとは考えていない。しかし、今よりは確実にメンズコスメの市場は広がっていくだろう。10年後にはZ世代が年齢を重ねているし、さらに若い世代はZ世代を追随していくので、自然と層が広がっていくとみている」
提供元・DCSオンライン
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