言語の壁より文化の壁

多くの人は海外向けのビジネスの障壁は「英語」だと思いこんでいる。確かにある程度の英語力は必要だ。しかし、ビジネスで必要になる英語の9割は「読み書き」である。

筆者は海外の外国人とのビジネスコミュニケーションはほとんどがテキストで完結している。時差もあり、お互いの予定を調整する国際電話の出番は、テキストに比べてずっと少ない。そしてテキストでやり取りが済むので、必要な英語力は多くの人が思っているより低くても問題はない。さらにAI翻訳の力も借りることができる。ビジネス英語はちゃんと基礎を鍛え、後は必死に仕事をすれば必然的に高まるだろう。

それ以上にずっと高い壁が「文化の壁」である。日本人同士だとウケることも、外国人相手には価値が理解されないことはたくさんある。筆者も最初の頃、何度も海外向けビジネスでコケた(未だによくコケる)。そうなると、よしんばどれだけ英語力が高かったとしても、ビジネスとしての成功はない。特に日本人は国内の日本人テイストの商品サービスに慣れすぎている。同じ視点で提供するとズレる。それ故に海外にウケる商品サービスを考える必要があるのだ。

散々、日本は独自テイストだといったが、それが逆にウケることもある。外国人からすると、日本はミラクルづくしの宝の山に感じられていることだろう。実際、日本人が気づかなかった日本人向けの商品をアメリカにもちこみ、成功をおさめるアメリカ人ビジネスマンもいる。

つまり、日本国内には海外向けビジネスで成功できるたくさんの宝の山がある。必要なのは国際競争の意識と行動力だけだ。

文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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