アフリカ南東沖に浮かぶマダガスカル島にて、アシダカグモによる新型のトラップ(罠)が発見されました。
このトラップは、2枚の葉っぱを絹糸で縫い合わせるようにしたもので、間に空洞のようなスペースができます。
この空洞に日差し避け目的で入りこんだ獲物を、中で待ちかまえていたクモが仕留めるようです。
研究は、昨年の12月11日付けで『Ecology and Evolution』に掲載されています。
食料&日差し対策?一石二鳥のスペース
新種のトラップは、アンタナナリボ大学(マダガスカル)とゲッティンゲン大学(独)の共同研究チームにより、合計4つ発見されました。
そのすべてで、隣接する2枚の葉っぱの縁だけを縫い合わせ、中間を開けることで中にスペースが作られています。
このスペースは、クモ自らが涼む休憩所にもなっているようです。
クモが熱帯の猛暑や天敵から身を守るために、木の茂みや穴に隠れる様子はよく見かけられます。
しかし、身を隠すだけなら自然の中にいくらでも隠れ場所はあるので、多くの絹糸と労力を費やしてまで、このような構造物を作るのは損でしょう。
そこでクモはこのスペースをトラップにも使っていると思われます。
4つのトラップ内で見つかったのは1匹のカエルのみであり、「獲物用のトラップを意図して作られた」とは断定できません。
しかしながら、マダガスカルの強い日差しから身を隠したいのは、カエルや昆虫も同じです。
もしかしたらクモは、最初に自分専用の休憩所として作ったものの、意外に多くの獲物がかかることからトラップとしても利用し始めたのかもしれません。
そうすれば、労力を費やした分のエネルギー源も補うことができます。
研究チームは「こうした生物の構造物の意図を定義するのはとても難しい」といいます。
人間なら明確な意図をもって道具や建物を作りますが、自然界の生物進化は行き当たりばったりなこともよくあります。
今回も、クモが偶然作ってみたスペースが、予想をこえて食料捕獲や休憩所として役立ったという可能性もありそうです。
このトラップの明確な用途を理解するには、もっと多くの観察例が必要でしょう。
参考文献
sciencealert
iflscience
提供元・ナゾロジー
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