3. 「現金・預金」ばかりの日本人
それでは、各国の金融資産の構成バランスについても見てみましょう。
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出典:OECD統計データ より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
図3が家計の金融資産における各項目のシェアを表すグラフです。
「現金・預金」のシェアが大きい順に並べています。
日本は「現金・預金」のシェアが55.5%で、36か国中4番目に大きい国となります。一方で、「株式等」については11.9%と極端に小さく、アイスランドに次いで2番目にシェアが小さい国です。
日本はこのように極端に「現金・預金」が多い偏った資産バランスの国であることがわかりますね。
一方で、アイスランドをはじめ、イスラエル、イギリスなどは極端に「年金・保険」に偏った国といえそうです。
「株式等」についてはやはりアメリカのシェアが48.3%と非常に大きいですが、ニュージーランドが72.9%と極端に大きいのが特徴的ですね。
このように、金融資産のシェアをみると、各国の国民の特徴も見えてくるのが興味深いです。
日本は主に高齢層の「現金・預金」により金融資産が大きく嵩上げ上げされています。貯蓄の多くは60歳以上の高齢者が所有しているためです。
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出典:国民生活基礎調査 より、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
2019年には、60歳以上の高齢世帯が持つ貯蓄額のシェアが70%以上となります。残り30%弱を60歳未満の世代で分け合っている状況ですね。
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出典:国民生活基礎調査、『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
図5がその60歳以上の貯蓄額の分布です。
世帯数自体が大きく増えているわけですが、貯蓄を多くもつ世帯が増える一方で、ゼロ貯蓄世帯も倍増しています。高齢層全てが豊かになっているわけではなく、豊かな層と困窮する層で2極化が進んでいるともいえそうです。
一見すると日本人の金融資産は先進国でもまだ多い水準に見えますが、その大部分を占める「現金・預金」の多くは高齢層に偏っています。確かに、そのお金はいずれ相続されますが、相続人の中心層も50~60代となります。
結局現役世代にその恩恵が回ってくる事はあまり期待できませんね。
高齢層に偏った金融資産は、当然現在の高齢者が現役時代に稼いだお金です。現在の現役世代は、今の環境の中で稼げるようになり、より豊かになっていくような変化が必要と思います。
フロー面では、現役世代の給与所得は低下しています。
労働者の平均所得は、日本はOECD36か国中20位と、平均値を下回り下位グループです。(参考: 安くなった日本人)
家計の金融資産は日本はまだ高めの水準をキープしていますが、上記のようなことも踏まえると、このままだとその順位もさらに低下していくことが容易に予想されますね。
働く人たちの付加価値を向上し、給与水準も上げていく事が大切だと思います。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2022年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。
文・小川 真由/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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