都心型店舗は「イケアを知ってもらう」店舗

イケアは郊外の大型店をメーンに事業を展開していたが、ECの拡大や若者の車離れなど、消費者の行動様式が変わる中、20年に都心型店舗の出店を開始した。現在3店舗ある都心型店舗(渋谷店、原宿店、新宿店)では、様々なチャネルからの買物を想定したオムニチャネル戦略に則った運営を目指している。

郊外の大型店と比較すると取り扱い商品数に限りがあり、車での来店も少ない都心型店舗では、イケアの商品を知ってもらう「ショールーム」としての機能を重要視している。つまり、店舗で見て気に入った商品を配送サービスの利用やECサイト「IKEAオンラインストア」で買物するなど、様々なチャネルを用意しているのだ。

お客の買物動向の変化は、コロナ禍でより加速し、ECで買物する人が急増したのは周知の通りだ。そして、そのトレンドは、法人向け家具販売にも当てはまるという。菊池氏によると、法人のお客に対するインテリアプラニングサポートも多いときでは約7割が、オンラインでの相談だったそうだ。しかし、キッチン家具を揃えたり、オフィスの内装をリノベーションしたりする際にかかる費用は決して安くはない。そのため、「キッチンやオフィスのデザインの大枠をオンラインで決め、最終的に購入を決める際に実物を店舗で確認する」という買物行動が急増しているのだ。

IKEA渋谷店リニューアルで体現!イケアが「法人向け」を強化する周到な狙いとは
(画像=『DCSオンライン』より引用)

渋谷店で、キッチンのパーツや、オフィス用の衝立などを豊富に展示するのも、そうしたニーズに対応するためだという。「対面での相談に抵抗を感じるお客さまや、相談時間を短縮したいお客さまにとっては、リモートでのプラニングはメリットが大きく、利用件数も増えている。さまざまな買物チャネルの中から、お客さまにとって一番利便性の高いものを選んでいただきたい」(菊池氏)

会員数250%増!「IKEA BUSINESS NETWORK」

イケアは、21年7月、従来「IKEA for Business」の名前で2010年から行なっていた法人向けの会員サービスを「IKEA BUSINESS NETWORK(入会費・年会費無料)」に改称し新たな特典を追加。会員にならずとも、法人向け家具を購入することはできるが、会員になるとインテリアプラニングサービスの割引が適用されるサービスになっている。

そんな「IKEA BUSINESS NETWORK」だが、21年9月~22年3月の期間、前年同時期に比べて約250%会員数が伸長したという。好調の理由を、菊池氏は「インテリアプラニングサービスの割引が大きい」と話す。同社が用意するインテリアデザインのプロが『経営者がオフィスの環境において本質的に変えたいポイント』を聞き出し、たとえば『デスクではなく玄関のデザインを変えてみるのがよいのでは』など細やかな提案ができる点が、人気を博しているのだという。

IKEA渋谷店ではリニューアルを機に、法人向けのサービスを拡充していく考えだ。「当社がターゲットにする50人以下の中小企業のビジネスオーナーは、渋谷に多く存在する。コロナ禍で、オフィスの家具需要が大きく変化する中、様々な方にご来店いただき、良いオフィス空間の構築のお手伝いをしたい」(同)

IKEA渋谷店リニューアルで体現!イケアが「法人向け」を強化する周到な狙いとは
(画像=IKEA渋谷店、副店長の菊池武嗣氏、『DCSオンライン』より引用)

提供元・DCSオンライン

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