全国のセブン-イレブンの店舗で矢継ぎ早に実施しているフェアが好調に推移している。
フェアは1月の北海道フェアを皮切りに、アジアングルメ(2月)、ご当地有名麺大集合(2月)、九州(3月)、カレーパーティー(4月)、沖縄(4月)をテーマに実施し、5月10日からイタリアンフェアを実施するなど年内切れ目なく実施していく。
ワクワクと驚きを演出して店舗を活性化して集客を図るとともに品質のよさを伝えていくのが狙い。 出足は上々で、これが一部寄与したとみられ今期(2月期)滑り出しとなる3月単月の既存店売上高はコロナ前の19年3月を上回り、4月も同水準で推移しているという。
4月28日、商品政策説明会で発表したセブン-イレブン・ジャパンの青山誠一取締役執行役員商品本部長兼物流管理本部長兼QC室管掌は「確実に売上効果と集客効果があったと考えている。ここまで大々的に商品を用意してフェアに取り組んだことは過去になかった。フェアでは加盟店さまが自信を持って商品をすすめ、お客様も次のフェアを期待する。売る喜び・つくる喜び、そして食べて喜んでいただけるといったことが全て実現できているのではないかと考えている」と語る。
大々的なフェア開催の背景には、コロナ禍の外出自粛による来店客数の減少がある。 「“人が動く”ことが少なくなっているのであれば、我々のほうから動いて少しでも来店動機を高めていく」との考えから立案された。
企画を具体化させる際、スーパーや百貨店などで開催されるフェアとの差別化を図るべく着目したのが、独自の強みである日本デリカフーズ協同組合が持つデイリー工場176拠点の製造インフラ。
「我々の最大の強みはやはり、おにぎり・お弁当といったフレッシュフードやデイリー商品を日本全国176拠点の工場から供給している仕組みだと考えている。もう一度、当社が過去から築いてきた商品の品質・設備・技術といったものをフェア通じてお客様に紹介していく」と述べる。
その一例に北海道フェアの「ぶたはげ監修炭火焼豚丼」が挙げられる。
「(ぶたはげ)店舗では炭火で焼いていることから、我々も連続炭火焼成機を米飯工場に備えている。タレについても、全国9拠点で出汁の抽出から様々なタレ、ソースをデイリー工場に届ける仕組みを有している」と説明する。
中華麺については、熟成庫を備え、のどごしのある麺を内側に、それをツルみのある麺で挟み込む三層中華麺に仕立てる技術を持つ。
5月10日からのイタリアンフェアは16品を品揃えし、この中でパスタ麺は塩水ボイルを実現。これまで「塩を入れてボイルするのはご家庭では当たり前だが、工場で行うと機械が錆びてしまい、なかなか実現できなかった」という。
176工場は全て食品安全マネジメント協会が定めるJFS‐B規格を取得し安全・安心を担保している。
パスタ麺は、喫食時にコシが感じられるよう製麺で工夫を施したほか冷風冷却によって麺の旨味を維持。冷風冷却は「茹で上がった麺を昔は流水で冷やしていたが、これだと麺の表面に付着している成分まで一緒に流されてしまう」ことから導入された。
容器にもこだわり、既にスープパスタで取り入れている深底の二段容器を採用。これにより麺の水分含有量を抑えながら効率よく加熱しソース接触によるダメージを軽減する。
フェア商品の開発にあたっては、外部や海外の知見も取り入れる。
イタリアンフェアでは「リストランテ アルポルト」オーナー・片岡護シェフが商品を監修している。
アジアングルメフェアの場合は、グループ会社のコリアセブンと打合せを重ね「コチュジャンについて様々な知見をいただき、本当においしいコチュジャンを使用して商品開発を行った」と振り返る。
今後は商品ごとで浮上した課題に対応しながら、12月まで切れ目なくフェアを展開していく。
商品面については「正直、上手くできたものもあれば、そうでなかったものもある。カレーパーティーでは税抜き750円のカレーを販売したが、お客様から予想以上にご好評をいただいた。地域のフェアだけではなく、カレー・中華・和食などメニューをしぼったフェアを上手く組み合わせながら、一歩でも二歩でも質を高めるような取り組みを続けていきたい」と意欲をのぞかせる。
提供元・食品新聞
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