カボチャヒキガエル(pumpkin toadlet)は、ブラジルの熱帯雨林に生息する世界最小級のカエルです。
コガネガエル属(Brachycephalus)に属しますが、この属のカエルはどれもよく似ているため、見分けるのが容易ではありません。
しかし今回、ブラジル・サンパウロ州立大学により、カボチャヒキガエルの新種が記載されました。
体長は1センチほどで、紫外線により蛍光もするそうです。
研究は、4月28日付けで『PLOS ONE』に掲載されています。
目次
新種を発見!カボチャ色は「毒あり」のサイン?
研究チームは、サンパウロ近郊の自然保護区に、新種と思しきカボチャヒキガエルが生息していることを以前から知っていました。
そこで2018年10月〜2019年9月にかけて76回の現地調査を行い、276匹のカエルを採取して、遺伝子や形態、行動、骨格、鳴き声まで、総合的に調査しました。
その結果、他の近縁種とは遺伝子が3%異なるカエルが複数発見されたのです。
チームはこれを「Brachycephalus rotenbergae」と命名し、新種と記載しています。
新種の丸い鼻先や頭部にある暗色の斑点、鳴き声の特徴的な音響は、他のカボチャヒキガエルには見られません。
また、新種は紫外線を当てると体の一部がネオングリーンに蛍光します。
カエルが蛍光性を進化させた理由は完全に解明されていませんが、研究主任のイヴァン・ヌネス氏は「交尾のためのパートナーや、ライバルとなるオス、他の生物へのシグナルとして作用しているのではないか」と話します。
今回の新種ではまだ調査されていませんが、カボチャヒキガエルは通常、「テトロドトキシン」と呼ばれる強力な神経毒を持っています。
テトロドトキシンは、フグやヒョウモンダコなどに見られ、毒に触れると感覚マヒや痙攣、心臓発作を起こし、最悪は死に至ります。
鮮やかなカボチャ色は「毒があるから近づかないで」というサインなのです。
ヌネス氏は「新種と認められた今、われわれはこのカエルの将来を見守る必要がある」と述べます。
本種が生息する森林は現在、政府の保護区内にあり、森林伐採による減少の心配はありません。
今のところ、個体数も安定しており、新種の発見につきものの「絶滅の危機」にはないようです。
提供元・ナゾロジー
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