カナダ・マギル大学の研究により、新種の古代カマキリを保存した化石が発見されました。
本種は、約1億年前の白亜紀にカナダ大西洋岸のラブラドール地方に生息したことから、「ラブラドールマンティス・ギルバウルティ(Labradormantis guilbaulti)」と命名されています。
また、現生するカマキリの中で最も原始的な種との共通点が見つかっており、カマキリの進化に関する理解を深めています。
研究は、1月9日付けで『Systematic Entomology』に掲載されました。
現生種で最も原始的なカマキリとの共通点を発見
化石は、ケベック州とラブラドール州の境にあるシェファーヴィルの鉄鉱山で見つかりました。
研究主任のアレクサンドル・ドゥメール・ポトヴァン氏は「最初の内はひたすら瓦礫の山を削っていく作業に費やされましたが、ある日、ワイン色の岩に保存されたカマキリの翅の化石痕が2つ見つかったのです。
発見時はそれが何の種類であるかは誰もわかりませんでした。
しかし、その後の分析で、これまでにまったく知られていない新種と判明したのです」と話します。
古代のカマキリは、現生種と姿が大きく違うことで知られています。
現代のカマキリは、カマのような前手を浮かして獲物を挟むのに使われますが、古代種は前手がそこまで発達しておらず、他の足と同じく地べたにつけていました。
その証拠に、現生種で最も原始的とされる「カマキラズ科(Chaeteessidae)」は、首〜翅までが極端に短く、カマをもちません。
こちらが南米に生息するカマキラズの一種(全部で6種存在)です。
研究チームは、RTI(反射率変換イメージング )という撮影法を使って、化石に残る複雑な翅脈のネットワークを分析しました。
その結果、後ろ翅に、現生種の中ではカマキラズ科にしか見られない特殊な翅脈(下図のAA2という部分)が見つかったのです。
これは、この翅脈がカマキラズ科でのみ単独で進化した構造ではなく、近縁の絶滅種から受け継いだものであることを示唆します。
また、この他に同じ化石中に残っていたスズカケノキという植物の分析から、当時のラブラドール地方が温暖で青々とした森林に囲まれていたことがわかりました。
カマキリの進化プロセスは、化石記録が大きく欠落していることから理解が非常に困難です。
研究チームは現在、新種をその現生および絶滅した近縁種と合わせて新しい系統樹を作成し、進化の流れを解明しようと努めています。
参考文献
phys
dailymail
提供元・ナゾロジー
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