世界各地に分布するワニには、アフリカを起源とする種属がたくさんいます。

その一方で、アフリカ起源のワニがヨーロッパの地中海沿岸に生息したことはないと考えられていました。

しかし、カタルーニャ古生物学研究所の最新研究により、スペインの遺跡で見つかった約600万年前のワニの化石が、アフリカの絶滅種「Crocodylus checchiai」と特定されました。

『Journal of Paleontology』に掲載された報告では、「中新世後期(約700万〜500万年前)に、アフリカ大陸から海を横断してイベリア半島に渡った」と推測されています。

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スペインで「アフリカ古代ワニ」の化石を初発見!

スペインで「アフリカ古代ワニ」の化石を初発見!

化石が見つかったのは、スペイン東部・バレンシア州にある「ベンタ・デル・モロ遺跡」です。

頭蓋骨や歯、皮骨(体表の硬い表皮)が断片的に出土しており、そこから全長約3メートルの個体が2匹特定されました。

化石が部分的すぎるため、正確な種の特定は困難ですが、高い確率でリビアやケニアに生息した絶滅種C.checchiaiと見られています。

いずれにせよ、アフリカ起源の種と見て間違いないとのことです。

スペインで”アフリカのワニ”の化石を発見!600万年前に「海を泳いで移動していた」
(画像=発見された化石 / Credit: cambridge,『ナゾロジー』より 引用)

この化石の発見は明確に、中新世後期にアフリカのワニがヨーロッパへ移動したことを証明しています。

研究チームのアンヘル・エルナンデス・ルハン氏は「スペイン南東部のムルシアやアンダルシアに到達したのは確かですが、北東部のカタルーニャ沿岸まで広がったかはよく分からない」としています。

かなりの数がイベリア半島全土に大挙した可能性もあるでしょう。