【木村ヒデノリのTech Magic #106】 これからの住宅設計はウイルスと共存を念頭に行われるようになるかもしれない。Philipsの室内空気殺菌器コンパクトはそんな可能性を感じさせてくれる製品だ。本業で住宅のIoT化を手がけている筆者も非常に興味のある潮流で、時代が製品化させてくれたとも言える。

 というのも、目に見えないレベルのものを気にするようになるのは、良くも悪くも最悪の事態が起こってからだからだ。これまで空気を除菌するということをうたった製品は薬局でもいくつかあったが、多くの信頼性が低いということも明らかになった。対してこれまでも紹介してきたUV-Cは、適切に運用すればウイルスや細菌を確実に不活性化することができる。これはコロナに限らず、インフルエンザなど周期的に起こっていた疾患においても有効な手段だ。今回はこうした流行性疾患と共存するための新しい住居を考えてみたい。

コロナ以降の新しい住まいのかたち、Philipsの室内空気殺菌器コンパクトで自宅をウイルスと共存する空間に
(画像=業務用のUV-C殺菌を家庭でも安全に使えるようにしたPhilipsの室内空気殺菌器コンパクト,『BCN+R』より 引用)

より手軽に扱えるUV-C殺菌ソリューション

 UV-Cによる家庭用殺菌器は以前にも紹介したが、今回は空気を殺菌する製品となる。メリットはその手軽さだ。表面を殺菌するUV-C製品は運用に注意が必要な一方で、空気殺菌器はUV-Cを照射する機構が内部にあり安心して運用ができる。

コロナ以降の新しい住まいのかたち、Philipsの室内空気殺菌器コンパクトで自宅をウイルスと共存する空間に
(画像=循環ファンが空気を取り入れ、殺菌して排出する機構,『BCN+R』より 引用)

 UV-Cは肌や目に有害でその運用に注意が必要だ。特に目は表面の角膜がUV-Cを吸収しやすく、組織が破壊されて目の痛みや充血、涙が出るなどの症状が出る恐れがある。長時間直視しなければ1週間ほどで治る程度だが、重症化すると視力低下や失明などを招くこともある。このため、表面殺菌する製品は無人の閉鎖空間を作る必要があり、運用に手間があった。対して空気殺菌器は密閉された内部でUV-Cを照射し殺菌された空気を排出する仕組みなので、子供やペットがいる場合でも安全に空間の殺菌ができるのが特徴だ。

コロナ以降の新しい住まいのかたち、Philipsの室内空気殺菌器コンパクトで自宅をウイルスと共存する空間に
(画像=表面殺菌は無人の状態で行う必要がある,『BCN+R』より 引用)

 もちろん表面殺菌の製品についても、Philips製のものは安全機構がしっかりしている。この点は非常に優秀で、ペットや人を感知するとすぐに自動で止まってくれる。しかし無人な状態というと主に夜間などになり、手間がかかっていたのは事実だ。一方で空気殺菌器コンパクトはいつでも動かしておける点で手軽だと言える。

空気除菌では足りない部分も、使い分けたい表面殺菌の利点

 手軽に運用できるのは利点だが、あえて先にデメリットを挙げておこう。この製品で殺菌できるのはあくまで浮遊している細菌やウイルスだ。家具や住設など、部屋に接触によって付着したもの、あるいは飛沫などまだ水分が蒸発しておらず空気中を漂っていないものに関しては別の方法での殺菌が必要となる。

コロナ以降の新しい住まいのかたち、Philipsの室内空気殺菌器コンパクトで自宅をウイルスと共存する空間に
(画像=手軽で便利だが、あくまで空気中を漂うウイルスや細菌に作用するという点は押さえておきたい,『BCN+R』より 引用)

 これらは今まで通りアルコールで拭くなどの方法で対策を取る必要があるが、こうしたケースでは表面殺菌式の製品の方がすぐれている。光が直進できる部分は一度に殺菌ができるため、全てを手で拭くよりも遥かに早く確実に殺菌できるだろう。このように、各製品の得意不得意も把握しておくと効果的に運用ができるので頭に入れておいてほしい。

空間殺菌は過剰な行為なのか? 免疫との関連性

 ここまで書くと出てきそうなのが過度な除菌が免疫を下げるのでは?という声だ。しかしこれに関してもほぼ気にしなくて良い。清潔すぎる環境で過ごしすぎると免疫力が下がる、といった意見は乳幼児に関わる免疫仮説から出てきたトピックだ。外で遊ぶことが少なくなってきた現代の子供はアレルギーなどの症状を起こしやすいという説だが、室内の空気除菌に関してはほぼ関係ないといって良さそうだ。

コロナ以降の新しい住まいのかたち、Philipsの室内空気殺菌器コンパクトで自宅をウイルスと共存する空間に
(画像=Philipsの空気殺菌器コンパクトでは、25平方メートルまでの部屋の空気を約4時間で殺菌できる。 これは免疫に影響しないだろうと考えられるので積極的に活用していきたい,『BCN+R』より 引用)

 空気よりも影響が大きそうな手指の消毒に関して例を挙げてみよう。スタンフォード大学病院のアン・リュー医師は「殺菌できる濃度の手指消毒剤を繰り返し使用することが私たちの免疫系や細菌の耐性に影響を及ぼす学術的根拠はない」と話す。リュー医師によると、必要だと思っただけ消毒剤や石鹸を使っても全く問題ないそう。また、衛生仮説やAMR(細菌の薬剤耐性)の研究からしても、こうした殺菌より適切でない抗菌薬の運用の方が子供の免疫に作用するとしている。

 以上のことから考えて、少なくとも空気殺菌器が免疫を下げるという事実はないといっていいだろう。空気殺菌器をつけても空間が無菌状態になるほどではないので、過剰という心配はしなくて良さそうだ。むしろ浮遊菌を抑制してくれる点では、インフルエンザなど空気感染しやすい疾患には効果的なのではないだろうか。

これからの主流になりそうなウイルスと共存できる住宅

 Philipsからは家庭用製品以外にもさまざまな殺菌器がリリースされている。もっと広い空間を除菌できるものもあり、安全性が高いのもメリットだ。こうした製品が実装された家というのが今後の住宅になっていくのではないかと筆者は考えている。

 インフルエンザのような疾患はこれまで感染するのもやむなし、子供が発症したらいずれ親も発症するよね…と諦めていたのがこれまでの流れだ。また、本当に効くのかわからないオゾン消毒器や空間除菌グッズしか手に入らなかったという実情もある。それがコロナという災害で一気に研究、製品化が進み、家庭でも手軽に導入できるようになった。

コロナ以降の新しい住まいのかたち、Philipsの室内空気殺菌器コンパクトで自宅をウイルスと共存する空間に
(画像= スマートホームにはIoTだけでなく殺菌器など含めたテクノロジーが導入されていくだろう,『BCN+R』より 引用)

 殺菌力が実証されている製品が安価に購入できるようになったことで、今後の住宅事情も一変するのではないだろうか。さらに殺菌器にはお風呂場などでカビを生えにくくするなど、疾患予防以外にも活用方法がある。まだそういう家がないので自宅で実験してみようと思うが、これらの製品を正しく運用すればインフルエンザなどこれまで諦めていた疾患の家庭内感染も減るかもしれない。もちろんその弊害も出てくるかもしれないが、時代が一歩前に進んだことを良しとして新しい住宅を作っていきたいと思っている。(ROSETTA・木村ヒデノリ)


■Profile

木村ヒデノリ
ROSETTA株式会社CEO/Art Director、スマートホームbento(ベントー)ブランドディレクター、IoTエバンジェリスト。

普段からさまざまな最新機器やガジェットを買っては仕事や生活の効率化・自動化を模索する生粋のライフハッカー。2018年には築50年の団地をホームハックして家事をほとんど自動化した未来団地「bento」をリリースして大きな反響を呼ぶ。普段は勤務する妻のかわりに、自動化した家で娘の育児と家事を担当するワーパパでもある。

【新きむら家】
記事と連動した動画でより詳しい内容、動画でしかお伝えできない部分を紹介しています。(動画配信時期は記事掲載と前後する可能性があります)

提供元・BCN+R

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