最近、充電中だった電気自転車(EV)と電動キックボードのバッテリー火災発生事例が増えている中、韓国電気研究院がバッテリー火災予測技術の開発に成功し、注目されている。韓国メディア「Newsis」が報じた。(写真:KERIハ・ユンチョル博士とDGISTのイ・ヨンミン教授=Newsis)
韓国電気研究院(以下KERI、院長ミョン・ソンホ)は、次世代電池研究センターのハ・ユンチョル博士と大邱慶北(テグキョンブク)科学技術院(DGIST)のイ・ヨンミン教授が共同研究した「リチウム二次電池寿命および発熱特性分析技術」関連論文が電気・電子工学分野国際著名学術誌「ジャーナルオブパワーソース(Journal of Power Sources)」5月号に掲載されたと9日明らかにした。
今回の研究は科学技術連合大学院大学(UST)KERIキャンパスのチョン・テジョン博士課程の学生とDGISTのイ・ヒョビン博士課程の学生が主著者として参加した。
リチウム二次電池はスマートフォン、電気自動車、電力貯蔵装置(ESS)など第4次産業革命を代表する多様な産業に使われているが、最近アパートで充電中だった電気自転車と電動キックボードバッテリーが爆発し大きな騒ぎになった。
ESSの場合も、韓国内だけで最近まで35回以上の大型火災事故が発生するなど、リチウム二次電池の使用増加に比例して火災や爆発の危険性も高まり、国内外の専門家たちが事故予防のための技術開発に力を入れている。
リチウム二次電池の安全な使用のために最も重要な技術の一つは「熱管理」だ。温度が過度に高くなったり低くなったりすると、電池性能がさらに速く低下するためだ。
しかし、現行の「熱管理システム」は電池の初期特性に応じて設計されており、長期間使用時に性能低下した電池の特性は反映できずにいる。
これに対し共同研究チームはリチウム二次電池の中で最も多く生産される円筒形電池(2.85Ah)を対象に、多様な充電・放電条件で1000回以上実験して得た170万件余りの時系列(time-series)データを通じてリチウム二次電池の長期充電・放電過程が寿命と発熱問題に及ぼす影響を分析した結果、バッテリー火災まで予測できる技術開発に成功した。
衝撃などの外部要因やメーカー欠陥のない正常な電池でも体系的な熱管理なしに長期間使えば事故に至る可能性があるということを科学的に立証したのだ。
今回の研究成果は電池の使用回数にともなう保存容量変化を単純な数値だけで提示した既存研究とは異なり、世界で初めて充電・放電速度がバッテリー寿命と発熱特性に及ぼす影響を統計学的に正確に分析することに成功したという点で大きな意味がある。
研究チームはさらに、このようなデータを視覚化し統計処理できる「パイソン(python)」プログラムを独自開発してバッテリーの長期性能を分析することにも成功し、商用ソフトウェアプログラムと連係してシミュレーションまでできる基盤も用意した。
これにより、大多数の国民が使用するスマートフォンはもちろん、密閉された環境で数百~数千個の電池を密集して使用する電気自動車とESSまで安全性を大幅に高めることができると期待される。
今回の研究は、KERI基本事業、科学技術情報通信部未来素材ディスカバリー事業および産業通商資源部PCS競争力強化核心技術開発事業として行われた。
KERIのハ・ユンチョル博士は「この間、2年以上使用した機器は新型スマートフォンより発熱がさらに多く発生するという経験的推測だけに留まったとすれば、私たちの研究成果は統計分析および電算解析技法を通じて問題原因を科学的に明らかにしたということに意義がある」と強調した。
それと共に「今後、たゆまぬ研究を通じてパウチ形、缶形など多様な形態の電池を安定的に運用するのに役立つ技術開発に邁進する」と明らかにした。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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