23年3月期増収増益予想も
気になるユナイテッドアローズの「穴」
さてZOZOでは2023年3月期の業績予想で、売上高が対前期比9.1%増の1813億円、営業利益が同3.7%増の515億円と、引き続き、売上高および営業利益の過去最高更新をめざす。ただし、いずれも1ケタ台の伸びでやや控えめの数値だ。投資家も失望したのか、決算発表翌日から株価は寄り付きから大きく下落、そのまま戻らなかった。
気になるのは、BtoB事業において同40.0%減の大幅減収を見込むという点だ。BtoB事業が全体に占める割合は小さいが、この減収が事業に与える影響は大きい。
この理由は、大口顧客であるユナイテッドアローズ(東京都/松崎善則社長CEO)がこれまでZOZOに委託していた自社サイトの開発・運用を含めた通販サービスのフルフィルメントを、自主運営に切り替えたためだ。今のところ、ユナイテッドアローズの穴を埋める新規顧客は見つかっていない。
ユナイテッドアローズが運用変更に踏み切ったのは、リアル店舗と連動したOMO(店舗とECの融合)施策を進めることに加え、手数料にもありそうだ。ZOZOの手数料は、取扱高に比例して課金される変動制の体系をとる。ECのウエートが急速に伸びていたアローズにとってこうしたコストを一部固定化することでコスト削減を進める狙いがある。
実は本丸の受託販売も、BtoB事業と同じ料金体系だ。アパレル企業が自前でECサービスを回すのは極めて難易度が高いのが実情だが、ユナイテッドアローズの離脱が「蟻の一穴」とならないか、今後を注視したい。
提供元・DCSオンライン
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