ミャンマー北部・カチン州の森で、約1億年前の「光る甲虫」を保存した琥珀が新たに発見されました。
生物発光の虫は、サイズが小さい上に柔らかくてもろいため、化石として残るのは非常にまれです。
中国、イギリス等の共同研究チームは「この化石は、発光性昆虫の進化の流れを理解するためのミッシングリンクとなるだろう」と述べています。
研究は、1月20日付けで『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されました。
発光器官が無傷のまま保存されていた
現在、発光性の昆虫は2300種以上が知られており、その大半は、コウチュウ目・カブトムシ亜目の「コメツキムシ上科(Elateroidea)」に属しています。
考えてみれば、生き物が自ら光るというのはとても不思議な話です。
しかし、その仕組みはすでに解明されており、体内のルシフェリン(化合物)やルシフェラーゼ(酵素)を酸素と反応させることで光が生じます。
代表的な昆虫は、ホタル、アカハネムシ、グローワームなどです。
その役割は種によって異なり、発光性の幼虫などは天敵を追い払うために、オスの成体はメスを惹きよせるために、また、ある種のメスは、発光によってまんまとオスをおびき寄せ、食べてしまいます。
こうした光る虫の多様性とは裏腹に、昆虫における生物発光の進化史はほとんど明らかになっていません。
ところが、今回発見された光る虫の標本は、保存状態がきわめて良く、腹部の発光器官が無傷のまま残されていたのです。
この虫は「Cretophengodes azari」というホタルの絶滅した近縁種であり、約1億4500万〜6600万年前の白亜紀に生息していました。
多くの発光性甲虫と同じコメツキムシ上科に分類され、片方に12本ずつ生えたユニークな触覚が特徴的です。
これまでの研究で、昆虫の生物発光は、天敵を追い払う防御能力として、柔らかく傷つきやすい幼虫において最初に進化したと考えられています。
研究主任のChenyang Cai氏は「今回の発見により、生物発光は白亜紀までに成体にも取り入れられていたことが示唆されました。
おそらく、その時点ですでに同種間のアピールやコミュニケーションといった機能も存在していたでしょう」と」と指摘しました。
一方で、コメツキムシ上科は、甲虫界でも最も異質な種からなるグループであり、解剖学的構造が何度も独立して進化しているため、進化の流れをひも解くのが難しいのも確かです。
研究チームは、今回のような絶滅種たちが発光性甲虫、ひいてはコメツキムシの進化を理解する鍵になることを期待しています。
参考文献
phys
cnn
sci-news
提供元・ナゾロジー
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