悪口を言う側はハイリスク・ノーリターン

さて、ここまで話を進めた上で今度は「悪口を言う側のメリット」を考えてみることにします。ここでいう「悪口」とは、建設的批判に該当するものではなく、「自分の不満を吐き出し、”これは不満である”という以外の価値ある情報が含まれていないコメント」と定義することにします。

そして、世の中にメリットのない事をする人は誰一人いない事を考えると、「誰かの悪口を言う」という行動は、自分の鬱憤を晴らすという彼らなりのメリットを享受していると考えるとしっくり来ます。

が、その鬱憤を晴らすという彼らなりのメリットは、悪口を言うことで負ってしまうリスクほど大きいと思えません。以前にプロ野球選手の奥さんをネットで中傷した人が訴えられ、200万円の請求がされたというニュースが話題になりました。

訴えられた側は「まさかこのようになるとは思わなかった」と答えたそうですが、人を中傷するという行為は高いリスクを負っています。特にネットは対面による口頭で浴びせるものではありませんから、思いっきりログが残ってしまいます。

私はこれまで送られてきた中傷を見返してみると、「お前の書いた記事で気分を害した。オレに慰謝料払え」とか、「土下座して謝れ」といったものがありました。私は法律の専門家でないのでハッキリわかりませんが、前者は脅迫、後者は強要罪が適用されるのではないかと思います。つまり、私を中傷した人は私から訴えられるリスクを負っているわけです(もちろん、こんな事でいちいち騒ぎ立てるつもりはないですが 笑)。

それでいて得られるメリットが「うっぷんを晴らせた」というものでは、まったくリスクに見合うリターンになっていないと感じます。「うっぷんは悪口を言うことでしか晴らせない特性がある」というなら話は別ですが、ネットで映画をみたり、漫画を読んで寝る方が圧倒的に気分はスッキリできます。となると、ますますリスクを負って悪口を言う行為をする意味が理解できないのです。

となると、導き出された結論は「彼らはリスクの存在を認識できていない」というものしか考えられません。悪口を発信する前に「この内容を送ると、相手が訴えると法的に◯◯という罪で罰せられるリスクを負います」と警告が出るなら、多分止めるのではないでしょうか。

ネットの中傷は、AIが悪口を自動識別をして警告を発するシステムが登場すると、かなり減るのではないかと個人的に感じます。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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