「RTA」という言葉を耳にしたことはありますか?

シングルプレイ型ゲームでは、一般的にストーリーやミッションに沿って順番にゲームを進めていきます。たとえば、RPGだと初期装備のままいきなりラスボスと戦うことはありません。経験値を溜めてキャラクターを育て、お金を集めて武器や防具を強化していくのが、通常のゲーム進行です。

一方RTA(Real Time Attack:リアルタイムアタック)とは、いかにゲームを早くクリアするかを競うプレイ方法の1つ。海外では「Speedrun」というジャンルで親しまれています。時間のかかるゲームでも、アイデアを駆使して考えられないスピードでクリアしていくのが、RTAの面白さです。

今回は、最近盛り上がりを見せるRTAの世界を有名タイトルを例にご紹介します。

まずはじめにカセットを抜く!『ドラクエ3』

まずは、『ドラクエ3』です。

ドラゴンクエストシリーズでもファンが多い『ドラクエ3』は、1998年2月にファミコン用ゲームとして登場したRPG。2021年12月のRTA in Japanでは、なんでもありのルール「Any% 任意コード実行」でクリアタイムが競われました。

「Any% 任意コード実行」ルールでは、ドラクエ3のプログラムに独自コードを入れることによって、強制的にエンディングまで到達することが可能です。今回のRTAでは、こうした通常のプレイでは到達し得ない方法で、クリアタイム「50秒」という記録が達成されました。

この偉業を成し遂げたのはピロ彦さん。ゲーム開始直後に行ったのは、『ドラクエ3』のカセットをファミコン本体から抜くということです。このアクションのあとに、抜いたカセットをファミリーベーシックのカセットに差し替えました。

さらに、なにやら意味ありげなコード(文字列)を入力し、再度『ドラクエ3』のカセットをセット。そうすると、『ドラクエ3』のラスボス「ゾーマ」を倒した状態になっており、このままエンディングを迎え、50秒でクリアするという前代未聞の記録が生まれました。

一連の流れや仕組みについては、ピロ彦さんの解説ページで紹介されています。

2時間近く目隠しでマリオをクリア

もう1つ驚愕の事例を紹介しましょう。

Nintendo 64用ゲームとして、1996年6月に登場した『スーパーマリオ64』を目隠しでプレイするという常人離れしたスタイルです。

目隠しでプレイするというだけでも驚きですが、さらに「スター70枚を集めクッパを倒す」という縛り付きです。スター70枚はボス戦(クッパ)に必要な数で、しかもボス討伐まで目隠しのまま。

この離れ業を披露したのは、ドイツ在住のBubziaさん。クリアタイムは、1時間47分です。画面を見ながらのプレイでも約2時間近く集中し続けるのは難しいことですが、Bubziaさんは目隠しの状態でクリアしました。

当日の様子はこちら。

スピードクリアなので、プレイ中にショートカット類を駆使しています。タイミングがシビアなボタン操作やスティックさばきなど、人間がプレイしているとは思い難い技の数々。ボスのクッパ戦でも、目隠しながら見事なプレイです。

RTAの世界にはほかにも多数のゲームに挑戦する猛者がいて、なかには『リングフィット アドベンチャー』をぶっ通しでプレイする人もいます。2022年2月に行われたイベントでは、世界記録を5分以上も更新するという驚愕の結果が出ています。

トイレを我慢する様子など、プレイヤーのえぬわたさん自身による振り返りも読み物として面白いので、RTAに興味を持った方はぜひ一読してみてください。

文・辻英之/提供元・TECHABLE

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