田舎暮らしの不便な点

しかし、田舎暮らしのすべてが優れているとは言いません。

田舎に移住して不便を感じるのは「エンタメがない」ということです。私はビジネスと投資に傾倒していますので、美術館めぐりやアウトドアにはまったく興味がないので、そうしたエンタメがないことは問題を感じません。私にとって最大のエンタメは「食事」です。

誤解のないように言っておくと、田舎でも素晴らしい食事をすることは可能です。

実際に住んでわかった!田舎移住のメリット・デメリット
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

これは地元のフレンチレストランで頂いたディナーです。写っていないのですが、スープやアパタイザーなどまだ3品くらいあります。フォアグラ、伊勢海老、キャビアなどはもちろん、デザートまでしっかり付いてわずか6,000円です。同じメニューを東京都内で頂くと、その3倍はしてもおかしくありません。さらに、こうしたおいしいディナーが個室に通され、ゆっくりと堪能できます。別料金を払う必要もありませんでした。

コスパ抜群のおいしい外食はあるのですが、問題はその「数」です。東京で外食を楽しもうと思えば、それこそ無限大です。次々と新しいお店ができますから、飽きることはありません。ぐるなびなどのレビューを一切見ずに、気になるお店を覗いて食べ歩く、という楽しさが東京にはあります。しかし、田舎にはそもそもお店の絶対数がありません。近場を食べ歩くと、かなり足を伸ばさない限り開拓はできないのです。

外食の開拓、という食べることが好きな私のような人にとって、田舎移住はデメリットと言えるのかもしれません。

都会から移住する人は覚悟が必要

元々田舎育ちで、そのまま田舎に住み続ける人には何も感じないことでも、私のように都会から移住する人は気をつける点もあります。

まず、田舎の人は都会より保守的な傾向があります。地元の人同士では仲良くやっていても、そこに東京から来た人が入り込んでいくことはなかなか難しいものがあります。もちろん、一切遮断されるようなことはありませんが、どうしても一歩引いた距離感を感じる瞬間はあります。

そして、最初は慣れなかったのが車移動です。今ではすっかり慣れてしまったのですが、移動を電車と徒歩、自転車しかしてこなかった自分には、田舎の車社会に慣れるにはかなり時間がかかりました。元々、運転も上手ではなく半分ペーパードライバーだったので、スーパーに買物をしにいって駐車するだけでも、ぶつけないようにすごく気を使います。最初はちょくちょく車から降りて、ぶつからないかヒヤヒヤしながら停めていたものです。

最後にイベントの存在です。東京でも東京ドームでイベントがあると、中央線が混雑するということがありますが、田舎の場合はそれが顕著です。花火大会等がある日は、早めに撤収しなければ大渋滞に巻き込まれてしまいます。コンビニの棚からも商品が消えてしまうので、イベントの存在を無視することはできません。

このあたりは都会から移住する人は、あらかじめ心の準備が必要な点だと思われます。

色々とメリット・デメリットを書いてみましたが、住んでみて慣れると愛着が湧いてくるものです。特にこの地で遊んだ経験はないのですが、それでもお気に入りのお店ができたり、使いやすいショッピングセンターなどは便利に使えます。

「田舎暮らしなんて地獄」

というブログも検索すると出てきますが、うまく波乗りすれば悪いものではないと思っています。

文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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