需要高まるも収益につまずく

盛り上がりを見せている一方で、オンライン・フィットネスには利益を上げるという難題が残されている。

ユーザー規模でアドバンテージを持つKeepは未だ赤字経営が続いており、2020年の調整後純損失は7億元(約140億円)に上る。

そもそも無料コンテンツが売りであるため、収益の手段は非常に限られている。同じコーチングでもオンラインだと料金はより安くなる。

そのため、有料会員サービス以外にもランニングマシンやサプリメントなどフィットネス関連製品の販売を手掛けることもある。

また、顧客維持も課題の一つである。フィットネスでは持続性が大事だが、例え初めはやる気満々でジムへ足を運び、熱心に指導を受けていた人もだんだんと消極的となり、三日坊主に終わることがある。

家で動画やライブを見ながらやる一人でやるオンライン・フィットネスは言うまでもない。意気込んで購入したランニングマシンが物干し台になったり、ダンベルが物置でほこりを被っていたりしても何ら不思議ではない。

顧客維持のために、Keepは若者に人気のバーチャルアイドルグループ「A-SOUL」のレッスンを受けられるコラボ企画を打ち出し人気を集めていた。

ほかにも、音楽ストリーミング大手の「QQ音楽」とコラボした音楽フェスティバルを開催し、大物インフルエンサーによるトレーニングプランやギフトボックスの抽選などバラエティに富んだイベントを開催していた。

こうした理由からも、成長途上のオンライン・フィットネス市場に注力しているフィットネスブランドだが、事業の軸足は依然としてジムなどのオフラインに置いている。

オンラインでスタートしたKeepも2018年から自社が運営するジム・「Keepland」を展開し、自社アプリにおける膨大なユーザーたちをオフラインへと誘導し始めた。

コロナ禍によって需要が高まったオンライン・フィットネスだが、感染拡大が収束した後も人気が続くかは不明瞭である。

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