今までKB(ケトルベル)の基本エクササイズのバリエーションを紹介しましたが、今回は上級編を紹介します。前回までのベーシック(基本)エクササイズをクリアでき、さらに複雑かつタフな種目に挑戦したいという方向けの高度なエクササイズです。モデル・インストラクターは前回に引き続きネブラスカ州在住のKBトップリフター、ビル・エッシュです。
文・写真:Nazo
1 ドラゴン・フラッグ
かのブルース・リーや映画ロッキーなどで有名になったこのエクササイズは“バリバリの腹筋をつくりたい。コアストレングスや上腕三頭筋を鍛えたい”人にオススメです。ポイントはバランスをとりながらゆっくり行うこと。そしてベルはある程度の高重量の方がやりやすいです。上級者なら2個のベルの合計が体重の半分近くの重量までトライしてみましょう。
①平らな床に寝て膝を立てベルをフロアプレスし肘をロックアウトさせる。
②~③腹筋を引き締めながら両脚を“ゆっくり”蹴り上げる。
④ヒップと足がきっちりと伸長されるのを感じながら、足を床と 垂直になるまで上げる。頭部と背中上部のみが床についている状態。⑤写真④で4~。5秒静止した後ゆっくりと足を写真の角度ほどまで下ろす。この時に膝は常にまっすぐ。床まで足をつけずに再び写真④のトップポジションまで足とヒップを上に上げる。これを1セットに4~5回繰り返す
2 ケトルベル・L – シット
シット=座るという意味ですが、宙に浮いた状態でLの字に“座り”全体重をベルの上にかけます。このエクササイズもコア、腹筋、上腕三頭筋の強化に効果大です。当然ながら、ベルの底面は大きく高重量の方が安定し小さめのベルや軽量のものは不安定な分、より集中力と慎重さを要求されます。
①ヒップの両側にベルを置きベルのハンドルの中央をしっかりと したグリップで握る。最初の“握り”が最重要。
②両肘をきっちりロックアウトさせたら上半身の体重をベルに落 としゆっくりと足を床から離す。
③胸を張り、バランスをとりながら足を上げていく。腹筋はしっかり締めること。
④上半身から足にかけて90度の“L の字”になるようにする。この状態(フィクセイション)で最低10秒は持たせること。慣れてきたら30秒くらいまで頑張ってみよう。
⑤膝を曲げ写真のように足をいったん戻すが、足の裏は床につけないまま再び写真③に戻り、写真③~⑤を1セットに4~5レップス×数セット行う。
3 マッスル・スナッチ
ダブル・デッド・スナッチとかダブル・ハーフ・スナッチなどいろんな呼び名がありますが、私たちは通称マッスル・スナッチと呼んでいます。ダイナミックな全身のエクササイズでかなりのコアストレングスを要求される種目です。とはいえ軽すぎるベルで行うとコアの強化にならないので、普通の男性であれば14㎏以上のベルから始めるのが良いでしょう。
①脚のスタンスはダブルベルが両足の間に置ける広さに開く。背中が猫背にならぬよう注意。
②バックスイングは行わず下半身から一気にパワーを爆発させてベルを振り上げる。
③下半身から上半身に移動するパワーにベルが“乗っている”状態なのでこの瞬間ベルは自動的に上に上がっている。
④両足と両腕ともにロックアウトされたフィクセイション状態。ここで一瞬完全静止する。
⑤フィクセイションから一度ベルを胸まで落とす。( 瞬間ラックポジション)
⑥ラックポジションからすぐさまベルを下へおろしながら下半身をハーフスクワット状態に持っていく。
⑦ベルを一度完全に床につけてから一呼吸し再び写真②~⑦までを繰り返す。1セット3~4レップス×3~5セット繰り返す。
4 ダブル・スナッチ・ウィズ・スクワット
ダブル・スナッチにスクワットを加えることでさらに複雑な動きと高度なストレングスを要求される種目です。これもマッスル・スナッチ同様全身のストレングス強化種目です。
①ベルは床に置いたデッドポジシ ョンからスタート。猫背にならぬよう注意。
②マッスル・スナッチと同じ要領 で動力を下半身から上半身に移行させながらベルを振り上げる。
③トップにゆく手前で膝を落としスクワットする。
④フルスクワットができれば写真 のように深くスクワット。あるいは腰を落とせるところまで落 とす。前のめりにならないよう注意。
⑤スクワットから立ち上がりオー バーヘッドのフィクセイションに持っていく。胸を張り両膝と 両肘はロックアウトされる。
⑥“タッチ・アンド・ゴー”の要 領で一度ベルを胸で受け止めてからダウンスイングへ。
⑦ダウンスイングから写真②に戻 って写真②~⑦を繰り返す。
Nazo
ケトルベル(KB)・インストラクターおよびコーチ。OKCJ代表・ヘッドコーチ。元OKCインターナショナル・ディレクターおよびヘッドコーチ。国際ケトルベル連合の元日本代表。2015年のIUKL世界大会には日本から初めてナショナルチームを引率しアイルランドのダブリンへ行く。日本で初めてKBスポーツ競技会の開催を始めたKBスポーツにおける日本の開拓者(フロンティア)でもある。訪日イベントでは、資格コースの指導者であるとともに通訳、マニュアル本の制作と翻訳も行う。また、米国フィットネス雑誌アイアンマンの日本版、アイアンマンジャパンではケトルベル記事を執筆。現在はジム勤務や競技生活の現役をリタイアし、主に個人指導、トレーニングのプログラミングおよびオンラインなどでKBやフィットネスの執筆活動などを行なっている。
提供元・FITNESS LOVE
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