サケ・マス漁業に関する日露交渉が開催
水産庁は今月11日、ロシアの川で生まれたサケ・マスに関する日露漁業交渉を開始したと発表しました。
サケやマスの多くは、河川で生まれて海に下って成長し、生まれた川(母川)に戻って産卵するという生態を持っています。そのため、サケ、マスは母川のある国にその資源の管轄権があるとする「母川国主義」という考え方がロシアやアメリカの主導で浸透され、今では一般的な物となっています。
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(画像=日本近海で穫れても「ロシア産サケ」の可能性が(提供:PhotoAC),『TSURINEWS』より 引用)
そのため、ロシアが近い北海道周辺のサケ・マス漁は、日本の排他的経済水域内で行うものであっても、その漁獲量を協議して決めなくてはならないのです。現在我が国はウクライナに侵攻したロシアに対して厳しい制裁を科しており、このような状況下での漁業交渉実施は異例のことです。
例年なら北海道では4月10日がサケ・マス流し網漁の解禁日なのですが、今年はいまだ出漁できていません。まもなく妥結見込みとのニュースもありますが、その行方は例年以上に注目されるものとなるでしょう。
国内のサケ・マス養殖は活気
天然のサケ・マスの漁獲ができていない一方で、国内各地で行われているサケ・マス類の養殖はいま非常に活気ある状態となっています。
国内では北海道から九州まで、海水・淡水合わせて約80ほどのサケ・マス類養殖産地があるとされます。代表的なのは毎年約6,000tほどの生産量がある宮城県石巻市ですが、その他の地域でも少しずつその生産量は増えています。
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(画像=養殖用のギンザケ稚魚(提供:PhotoAC),『TSURINEWS』より 引用)
そのひとつである鳥取県境港市沖の美保湾では、養殖ギンザケの今シーズンの水揚げ作業が先日始まっています。「境港サーモン」のブランド名で全国のスーパーや百貨店で販売されます。
また、内湾である瀬戸内海に面する兵庫県でもトラウトサーモン(海産ニジマス)の養殖が盛んに行われており、長いものでは20年以上の歴史があります。