ウェブコンサルティング専門会社のペンシルは、2020年6月1日から5日間にわたり、台湾人の新型コロナウイルス流行収束後の訪日旅行について意識調査を実施しました。この調査では、台湾人の訪日旅行に対する意識の変化が明らかになっています。

また、インバウンドサポートサービスを展開するアジア・インタラクション・サポートは、2020年4月15日から5日間にわたり、同社運営のWebサイト「歩歩日本(ブーブーニホン)」利用者を対象とした意識調査を実施しました。この調査では、台湾人が訪日旅行に関する情報で何を知りたいのかが明らかになっています。

台湾では、2か月にわたり新型コロナウイルスの国内新規感染者が確認されておらず、新型コロナウイルス対策で実施されていたさまざまな制限を、5月27日より3段階に分けて緩和する計画が進行しています。

これにより10月1日には海外旅行が解禁となる見込みですが、その後すぐに海外旅行に出かけるかどうかは台湾人の間でも意見が分かれています。

今回は、ペンシル及びアジア・インタラクション・サポートが実施した意識調査と台湾人インターネットユーザーの意見をもとに、新型コロナウイルスの流行収束後の訪日台湾人の動向を予測します。

《注目ポイント》

  1. 8割が「年内には訪日しない」と回答
  2. 別調査では99%が「日本旅行の情報ほしい」と回答
  3. 台湾人ネットユーザー「すぐにでも日本に行きたい」「ワクチンができてから」意見が分かれる 目次
    台湾人、コロナ収束後は67%が「海外旅行に行きたい」

台湾人の99%が「日本旅行の情報ほしい」と回答

台湾人ネットユーザーの意見「隔離さえなければすぐにでも行きたい」

訪日台湾人回復は来年以降になる見通し/継続的な情報発信を

台湾人、コロナ収束後は67%が「海外旅行に行きたい」

ペンシルが新型コロナウイルスの流行収束後にやりたいことを調査した結果、67.5%の回答者が「海外旅行に行きたい」と回答しました。同時に47.7%の回答者が「国内旅行に行きたい」と回答しており、台湾人の旅行好きな国民性が数字に表れる結果となっています。

旅行の再開時期:8割が「年内には訪日しない」と回答

海外旅行を再開する時期を見てみると、2020年の年末という回答は全体の23%、1年以内(2020年年末から2021年4~6月までの合計)という回答は全体の61%となりました。

一方、訪日旅行を再開する時期に関する調査では、2020年の年末という回答は全体の19%に留まるなど、全体的に時期がやや先送りとなっている傾向がうかがえます。

「わからない」を除くと、約8割の台湾人は2021年以降に訪日旅行を再開する予定となっているため、現時点では年内の台湾人の訪日はほぼ期待できない状況になっているといえます。
 

訪日ラボ
(画像=訪日ラボより引用)

台湾人の99%が「日本旅行の情報ほしい」と回答

一方、アジア・インタラクション・サポートでは、2020年4月15日から5日間、同社の運営するWebサイト「歩歩日本(ブーブーニホン)」の台湾人ユーザーを対象に訪日旅行に関する意識調査を実施しました。

調査によると「今は訪日旅行の情報はいらない」と回答した台湾人ユーザーはわずか1.1%に留まり、約99%の台湾人ユーザーは新型コロナウイルスの流行下でも訪日旅行に関する情報を求めていることが浮き彫りとなりました。

「歩歩日本(ブーブーニホン)」は日本の観光地、飲食店、アクティビティ、買い物、宿泊などの情報を中国語で台湾人に向けて発信しているWebサイトです。新型コロナウイルスの流行により訪日旅行が不可能になった現在でも日本の情報を発信するWebサイトにアクセスしているユーザーは、以前と変わらず情報収集を続けていることが調査からわかります。

最も知りたい情報は「地域の観光スポット」

同調査によると、いま発信してほしい訪日旅行情報という項目では「地域の観光スポット」が最も多く84.7%を記録し、続いて「おすすめのレストラン」が51.5%、「日本の歴史や文化」が48.1%という結果でした。

昨年日本を訪れた台湾人は約489万人にのぼり、台湾人のおよそ5人に1人が日本を訪れた計算になります。台湾からは日本の各都市に直行便が多く就航しており、東京や大阪などの人気観光地を観光し終えた台湾人は地方や農村へと目的地を広げる場合も多く見受けられます。

これらのことから、地域の観光スポットやおすすめのレストランに関する情報収集を続けることで、次回の訪日旅行の計画を立てている台湾人も多く存在すると推測できます。

台湾人ネットユーザーの意見「隔離さえなければすぐにでも行きたい」

一方、台湾最大の電子掲示板(BBS)であるPTT(批踢踢實業坊)では、訪日旅行が好きなユーザー向けのスレッドにおいて、いつから訪日旅行を再開させるかの議論が交わされていました。

スレッドでは「もちろん入国できるようになったらすぐに行く」「隔離さえなければすぐに行く」という積極的な意見も見受けられましたが、「最初は人気のない場所から行く」「公共交通機関をなるべく使わず、レンタカーを借りて地方を観光するつもり」といった慎重な意見も見られました。

一方で「ワクチンが完成するまで行かない」という意見も

訪日旅行を再開させる時期についての議論が交わされたのは訪日旅行好きが集まるスレッドであったため、多くのユーザーは訪日旅行について肯定的な意見を述べていました。

一方、中には「ワクチンが完成するまでは行かない」という意見も見受けられました。その理由としては「万が一新型コロナウイルスに感染したら国内の負担になるから」や「家に高齢者がいるので感染させたら大変なことになる」、「家族に心配をかけられない」などが挙げられており、ほかにも「会社が海外旅行を禁止しているため行けない」という現状や「両国間の行き来が去年のような水準に戻ったら行く」という意見も見受けられました。

上記スレッドで述べられた意見を総合すると、日本に興味のある台湾人は新型コロナウイルスの流行収束後にまた訪日旅行ができることを願っていますが、一方でワクチンの完成を待つ慎重派が一定数存在することもわかります。

これらのことから、新型コロナウイルス流行収束後の台湾人へのアプローチは、感染予防策を前面に押し出したものが一定の効果を発揮すると推測できます。

訪日台湾人回復は来年以降になる見通し/継続的な情報発信を

意識調査やアンケートからは、新型コロナウイルスの流行収束後に海外旅行や訪日旅行に出かけたい台湾人は数多く存在するものの、海外旅行を再開させる時期については慎重に考えている人が多いことがわかりました。

ペンシルによる調査の対象となった台湾人ユーザーの8割は2021年以降の訪日旅行を考えているため、年内の訪日旅行需要は見込めそうにありません。

しかし、海外旅行が難しい現在でも日本に関する情報を求めている台湾人は非常に多く存在するため、新型コロナウイルス流行収束後の訪日旅行復活を見据えた情報の発信が求められています。インバウンド業界は厳しい状況が続いていますが、いま情報を発信するかしないかで来たるインバウンド復活後の明暗が分かれるでしょう。

文・訪日ラボ編集部/提供元・訪日ラボ

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