中堅レストランチェーンのゼットンを買収
社内にノウハウの乏しい分野へ進出するために、一から人を育て組織を構築するのは時間がかかる。スピードが求められる現代においては、むしろ「買ってくる」のが得策の場合も多い。
レストラン「アロハテーブル」などを運営するゼットンの買収も、非アパレル事業の迅速な展開を見据えてのことだ。あわせて、主力の「グローバルワーク」などでのカフェ併設も視野に入れる。
ここ10年間でグローバル展開を一気に加速し、国内売上を超えるまでに海外事業を育て上げたユニクロとくらべると、海外売上比率が1割に満たないアダストリアの現状は見劣りがする。
国内衣料市場の鈍化・長期低落傾向を考えると、海外進出加速は待ったなしの課題だ。そうした中、アダストリアがとくに重視するのが中国市場だ。ニコアンド上海2号店の出店が奏功したこともあり、中国大陸での売上高は前期から9割近く増加した。今後は中国での出店を継続すると同時に、東南アジアへの進出を加速するとしている。
中計目標、連結売上高2800億円
2023年2月期の業績予想では、売上高が対前期比14.1%増の2300億円、営業利益が同52.3%増の100億円、当期純利益が同28.1%の63億円を見込む。
アダストリアは「そこそこエッジのきいたお手頃価格ブランドのマルチ展開」を武器に、日本での存在感を高めてきた。今後は国内アパレル市場が縮小していく中で、成長持続のカギを握るのは、グローカル化を含めた海外市場での投資拡大・自社ECの展開加速、そして既存ビジネスにおける収益・成長性確保だ。
同社は中期経営計画の中で、最終年度2026年2月期において連結売上高2800億円(うちEC売上高800憶円)、営業利益率8%と意欲的な目標を掲げている。果たして達成できるのか、今後に注目が集まる。
提供元・DCSオンライン
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