携帯電話キャリア「T-モバイル・オランダ」は世界初のリモートタトゥーを成功させました。
公開された動画には、離れた場所にいる彫師の作業をロボットが正確にコピーしている様子が記録されています。
この斬新な取り組みは、彫師とロボットを繋ぐ5Gネットワークが繊細なリモート作業を遅延なく行えると証明しており、これは将来のさまざまなリモート技術の開発に繋がります。
ロボットを使ったリモートタトゥー

「リモートタトゥー」という新しい取り組みは、離れた場所で作業する彫師とロボットアーム、5Gネットワークで成り立っています。
そして今回、このチャレンジでタトゥーを入れることになったのは、女優のステイン・フランセン氏です。

最初にフランセン氏の腕が固定されます。そして腕の形状をスキャンし、データを彫師の元に送信。
離れた場所にいる彫師の手元にはダミーの腕が用意されており、そこに施術することで繊細な動きがロボットアームに反映されるようになっています。

またロボットアームと彫師は強力な5Gネットワークで繋がっており、リモートでも細部まで彫師がデザインしたとおりに施術可能とのこと。
さらに彫師とフランセン氏は施術中もビデオ通話によって会話したり表情を確認したりできるため、安心感があります。
繊細なリモート作業が可能だというデモンストレーション
もちろん、この取り組みは最初から順調だったわけではありません。練習台のトマトを深く突き刺してしまうこともありました。

対象となるのはプラスチックではなく本物の皮膚です。ロボットアームの力がほんの少し強いだけで致命的な問題となります。
また不安定な動きは施術を受ける人に必要以上の恐怖を与えることになるでしょう。
そこで大切になってくるのが彫師とロボットアームを繋ぐネットワーク通信の速度です。

どんなにロボットアームやコンピュータが繊細な動きを提供できても、通信が遅延したり不安定だったりすると作業にミスが生まれてしまいます。
タトゥーは取り返しのつかない繊細なアートです。ネットワーク通信に絶対的な安定性がなければリモートにしてはいけないのです。
ところが、今回の取り組みではリモートタトゥーを見事に成功させました。

T-モバイル・オランダは自身が提供する「5Gネットワーク」がどれだけ有用か、またどれだけ将来性のある技術なのか、分かりやすく証明したのです。
今後、リモートタトゥーが実用化されるかどうかは分かりません。しかし、ネットワーク通信技術の向上と、それに伴うさまざまな新しい技術は誕生していくでしょう。
参考文献
world’s first-ever remote tattoo needled by robot arm via 5G network
提供元・ナゾロジー
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