Point

■約7,000年前に、フランス北西部で巨石文化が始まり、それがストーンヘンジの建造に繋がった可能性が浮上
■巨石文化は約1,000年の間に3つの主な段階を経て、地中海や大西洋の海岸から海路でヨーロッパ周辺に広まった
■当時の海洋技術は、従来考えられてきたよりもずっと進歩していた可能性がある

ヨーロッパで最も有名な巨石といえばストーンヘンジですが、実はこうした巨石建造物はヨーロッパ全土におよそ35,000個以上も存在します。

最近の研究で、フランス北部のブルターニュ地方で興った古代文明が、約7,000年前に巨石建造物の建造を始めた可能性が明らかになりました。この場所には、フランスを代表する巨石遺構「カルナック遺跡」が存在します。

この説を唱えたのは、スウェーデンのイェーテボリ大学 のベッティーナ・シュルツ・ポールソン氏。論文は、雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されました。

Radiocarbon dates and Bayesian modeling support maritime diffusion model for megaliths in Europe

イギリス人「!?」ストーンヘンジの起源はフランスだったという説が浮上
(画像=Credit: pnas / スペインのカタルーニャ地方に遺る同様の遺跡,『ナゾロジー』より 引用)

ポールソン氏によると、巨石文化はフランス北西部で始まり、およそ1,000年の間に3つの主な段階を経て、地中海や大西洋の海岸から海路でヨーロッパ周辺に広まったとのこと。古代のフランス人が自らストーンヘンジを建てたわけではありませんが、当時イギリス南部に住んでいた人々に「アイディアを与えた」ようです。

ポールソン氏は10年以上の年月をかけ、ヨーロッパ全土に点在する2,000箇所以上の史跡を、放射性炭素年代測定を用いて調査。巨石文化の進化の過程を明らかにしました。

イギリス人「!?」ストーンヘンジの起源はフランスだったという説が浮上
(画像=Credit: pnas / スウェーデンのHaväng dolmenにも同様の遺跡が?,『ナゾロジー』より 引用)

もしポールソン氏の説が正しければ、当時の海洋技術が従来考えられてきたよりもずっと進歩していたことの証となります。でも、国の誇りであるストーンヘンジの起源が実はフランスだったなんて、イギリス人にはにわかに受け入れがたいことかもしれません。

ストーンヘンジが建造されたのは、紀元前2,500〜2,000年ごろ。巨石建造物としてはむしろ新しい部類です。

ストーンヘンジには、中近東が起源だとする説や、その土地で独自に建造されたとする説など、さまざまな理論が存在するだけでなく、「魔術師マーリンが巨人に作らせた」とか、「アイルランドのキララウス山から魔法で運ばれてきた」などという伝説も数多く存在します。この巨石建造物が、人の好奇心とロマンを掻き立てて止まないことの証なのかもしれませんね。

一体誰が、いつ、何のために、どうやって建てたのか…。そんな私たちの疑問をよそに、多くの謎に包まれた巨石群は、イギリスの曇り空の下、今日も静かにたたずんでいます。

提供元・ナゾロジー

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