「デジタル日銀券」で金利はコントロールできる

それを防ぐ方法があります。お札を廃止して、日銀券を電子マネーにするのです。デジタル日銀券はネットワークにつながっているので、マイナス金利をつけることもできます。みなさんが買い物をするときポイントをつけてもかまいません。銀行から引き出しても金利がマイナスになるなら、取り付けは起こらないでしょう。

マイナス金利は異常な現象ではありません。金利はお金の値段だから、お金があまっているときには下がるのが当たり前です。それがゼロ以下にできないのは銀行を守るためのルールですが、政府や日銀が銀行を通さないで電子マネーを発行すればいいのです。

現金に課税することは、100年前にゲゼルという人が提案し、ケインズやフィッシャーなどの有名な経済学者が賛成しました。フリードマンも銀行を通さないでヘリコプターからお金をばらまくのが理想的な金融政策だといいました。

これはみんな冗談だと思っていますが、冗談ではないのです。現金は資産としては時代おくれで、脱税や犯罪にも使われます。お金があまって企業が自由に資金調達できる時代に、現金だけ銀行が仲介を独占するのも不合理です。

日本は異常に現金の多い国です。国民の資産の半分以上が預金なので、銀行は使い道がなくなって困っています。現金に手数料をつけて徐々になくし、電子マネーに置き換えることは合理的な政策なのです。その第一歩として、政府がポイントを使って電子マネーを発行してはどうでしょうか。

文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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