キングオブエクササイズ(エクササイズの王様)と言われるスクワットですが、この種目が苦手な方、高重量を扱うことができない方はたくさんいます。今日はそんな人におすすめの種目をご紹介します。

文:井上大輔 <NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会>

スクワットがうまくできない方へ

例えば、身長が2mある人と1m50㎝の人が100㎏のスクワットを行った場合、どちらの人が大変になるでしょうか? 身長が2mある人はバーベルを移動させる距離が長いので、仕事量が多くなり同じ100㎏のバーベルを用いたスクワットでも、1m50㎝の人よりかなり大変なエクササイズになってしまうのです。

カナダのスチュワート・マクギル博士は、世界中の人種の股関節を調べ、その答えの一つとして、股関節の関節窩か(関節の大腿骨の骨頭が入るくぼみ)が浅い人はディープスクワットが得意で、関節窩が深い人はディープスクワットが苦手であると言っています。これは器質的な問題なのでテクニックでは解消できない問題と言えます。スクワットで重い重量を扱うことは、トレーニーにとって一つのステータスであると同時に、一番ハードな種目と言われているので、それを行わないことはトレーニングに対しての妥協ではないかと考える風潮があるようです。 また、スクワットで重い重量を扱い続けるということは腰椎の変形を促進させ、老化を早めてしまうというリスクもあります。ここで考えていきたいのは、高重量のスクワットにこだわることが、本当に必要なのかということです。

もしあなたがスクワットに適していない骨格を持っているのであれば、スクワットはほどほどに行い、代わりの種目を採用しても良いのではないかということです。その代わりの種目としてお勧めしたい種目の一つが「ランジ」です。 ランジはスクワットと異なり、股関節が外転( 足を横に広げた姿勢)していないので、股関節の自由度が増し、腰椎にかかる負担が減ることにより、 腰痛のリスクが少なくなります。今回はランジの中でもスクワットと同じく重心移動が少ない「バックランジ」について説明していきます。

バックランジの効用

股関節の伸展力の強化
殿筋群の強化
大腿四頭筋、ハムストリングスの強化

バックランジの行い方

バーベルを担ぎ、直立します(写真1 −1)。

スクワットがうまくできない人におすすめの種目
(画像=1-1 リバースランジのスタートポジション、『FITNESS LOVE』より引用)

そこから片足を後ろにステップし、真下に沈み込みます( 写真1 −2)。

スクワットがうまくできない人におすすめの種目
(画像=1-2 リバースランジのフィニッシュポジション、『FITNESS LOVE』より引用)

地面を鉛直線上に押し込み、写真1−1の姿勢に戻ります。この種目は体幹の固定と、股関節の伸展に重点をおいたエクササイズなので、ダンベルやセーフティスクワットバー等でも同じ効果を得ることができます(写真1−3、写真1−4)。

スクワットがうまくできない人におすすめの種目
(画像=1-3 ダンベルリバースランジ、『FITNESS LOVE』より引用)
スクワットがうまくできない人におすすめの種目
(画像=1-4 セーフティスクワットバーを用いたリバースランジ、『FITNESS LOVE』より引用)

リグレッション(原点回帰)とプログレッション(エクササイズの発展)

◎バックランジのリグレッション

①スプリットスクワット(写真2−1)

スクワットがうまくできない人におすすめの種目
(画像=2-1 スプリットスクワット(リグレッション)、『FITNESS LOVE』より引用)

スプリットスクワットは足を前後に広げることで左右(前額面)のバランスをとりにくくしたエクササイズです。このエクササイズはエクササイズ中に片足になる局面がないので、バックランジと比べてより容易なエクササイズになります。もちろん腰にかかる負担はスクワットに比べて少なくなります。

◎バックランジのプログレッション

①バックランジ&プレス(写真2−2、写真2−3)

スクワットがうまくできない人におすすめの種目
(画像=2-2 バックランジ&プレスのスタートポジション(プログレッション)、『FITNESS LOVE』より引用)
スクワットがうまくできない人におすすめの種目
(画像=2-3 バックランジ&プレスのフィニッシュポジション、『FITNESS LOVE』より引用)

片方にダンベルを持ち、バックランジでフィニッシュしたと同時にダンベルを挙上します。上半身と下半身の連動と、体のバランスに重点をおいて行います。身体機能を高めるための種目ですがバルクアップ(筋肥大)には向かない種目になります。

私の指導ではスクワットは導入時に必ず行う種目ですが、必要に応じて重量を重くしたり、軽くしたり、またスクワットを導入しないでランジに代えたりします。特にアスリートの場合、年を取ってからも活躍できることが望ましいので、高重量のスクワットにこだわることはしなくなりました。スクワットの重量が上がればそれだけ競技力が向上するというのであれば行うのですが、競技によってそうではないと判断した場合、そこそこの重量が持てるようになるとランジのような種目も導入していっています。


井上 大輔(いのうえ・だいすけ)
兵庫県神戸市出身。滋慶学園大阪ハイテクノロジー専門学校スポーツ科学科トレーニング理論実習講師/整体&パーソナルトレーニングジムを経営(兵庫県明石市)/ NSCACSCS/NPO 法人JFTA 理事長/17歳よりトレーニング開始。大学卒業後、スポーツクラブに就職、スポーツコンサルティング事業にかかわる。同時に操整体トレーナー学院学長松下邦義氏に師事、操整体について学ぶ。/2006年NBBF 全日本選手権 第6位。
NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会 TEL:078-707-3111

提供元・FITNESS LOVE

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