まず「特重」で止まっている原発を再稼動せよ

くわしいことはGEPRに書いたが、このような私文書で原発が止まっていることが最大の問題である。田中私案は暫定的な提案だったので、安全審査のやり方を見直す必要がある。特に重要なのは、安全審査と運転の分離である。

具体的には、田中私案の「施行までが短期間である場合」には安全審査が終わるまで使用前検査ができないという例外規定を削除し、施行期間を明記すべきだ。これは非公式のメモを正式の委員会規則にするだけなので、国会の同意も必要ない。

特に設置変更許可が出て再稼動した関西電力高浜1・2号機と美浜3号機は、特重(テロ対策)の設備更新のために停止されている。これは定期検査も終わった原発を法的根拠なく止める違法な運転停止命令であり、関電が従う必要はない。テロ対策は、運転と並行してやればいいのだ。

他方、委員会が柏崎刈羽6・7号機について東電に出した是正措置命令は、原子炉等規制法(43条3-23-2)にもとづく運転停止の命令であり、法的根拠がある。これ以外の「再稼動停止」は法令にもとづく命令ではないので、定期検査の終わった電力会社は運転すればいい。安全審査は、それと並行してやればいいのだ。

文・池田 信夫/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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