AIを利用した最先端の技術が研究される中、一部の研究者たちは不思議な開発を続けています。
アメリカを拠点に活動する芸術家兼科学者のディムート・ストリーバ氏は、AIを内蔵した「口だけのロボット」を開発しました。
「鼻と口だけ」のインパクト大な見た目ですが、AIによって自動生成されたオリジナルの祈りを奏でることができるのだとか。
祈りに合わせて口がパクパク動く様子は、見る人を困惑させます。
ひたすらオリジナルの祈りをささげる「口だけロボット」
近年のAIは、人間に代わってオリジナル作品を生み出せるまでになっています。
例えば、「人間に匹敵するようなプログラムを書くAI」「テキストからオリジナル画像を生成するAI」「作曲するAI」などが既に開発されています。
AIの可能性はどんどん広がっているのです。
そんな中でストリーバ氏が開発したのは、オリジナルの歌を奏でるAIロボット「The Prayer(祈る人)」です。
The Prayerの口から発せられるのは、単なる歌ではありません。
AIがつくったオリジナルの祈りなのです。
ストリーバ氏によると、「このAIには、キリスト教の聖書やイスラム教のコーラン、儒教の古典など、世界の多様な聖典を学習させた」ようです。
そして学習した情報から、オリジナルの祈りをつくりだして歌っているのだとか。
製作者はこのマシンについて、「人間の脳が電気信号で作用するなら、AIはどこから人間とみなされるのか」「AIの祈りは、人間が神に祈る行為と何が違うのか」という、かなり哲学的な目的を持ってこれを開発したようです。
が、見る人の意識は、衝撃的な見た目にすべてを持っていかれます。
「なぜ頭部全体ではなく口と鼻だけなのか」「パクパクと動く口は何のためにあるのか」「製作者はどこまで本気なのか」など、決して解消されない疑問が頭を巡ります。
このThe Prayer、フランス・パリで開かれた美術展で展示されたこともあるようです。
美術展を訪れた人は、ひたすら奏でられる祈りに、いったい何を感じたのでしょうか。
ちなみに海外掲示板のredditでは、なにか別のいかがわしいものに見えるというコメントが多数を占めていました。
彼らが一体ここから何を見たのかは謎ですが、製作者の深遠な意図は、残念ながらネット上の人々にはうまく伝わらなかったようです。
参考文献
A Disconcertingly Disembodied Robotic Mouth Sings Endless AI-Generated Self-Learning Prayers
Diemut Strebe / The Prayer
提供元・ナゾロジー
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