身体づくりに興味が出てきたならウエイトトレーニングは必須だ。しかし、何からはじめればいいのか皆目見当がつかない。いろいろ悩んでいるうちに熱が冷め、結局また筋トレを開始するきっかけを失ってしまうことになる。もうそんなスパイラルに陥りたくはないなら、何をどう始めるべきかをここで学んでおこう。今回は身体づくりに興味はあるが、なかなかスタートが切れないでいる人に読んでほしい内容だ。トレーニングを始めるなら、まずはここからはじめよう。

文:Brad Stein, NASM-CPT 翻訳:ゴンズプロダクション

最初からかっこいい身体の人はいない

筋トレ初心者のための最初の3ヵ月メニュー「たったの6種目を2分割」
(画像=『FITNESS LOVE』より 引用)

ジムに行くとなんだか居心地が悪い……初級者の多くはそう感じているかもしれない。確かに周りを見るとみんな黙々とトレーニングをしていて、誰もがかっこいい身体をしているように見える。そういうのを目にすると、途端に怖じ気づき、ジムに行くのがおっくうになってしまう。言っておくが、どんなにかっこいい身体を作り上げている人でも、最初からそうだったわけではない。「ローマは1日にしてならず」と言うではないか。身体づくりも同じなのだ。

ジム通いに慣れていないトレーニング初級者たちは、まずは3ヵ月、次のようなやり方で基礎づくりに専念してみよう。この基礎を頑強に作れるかどうかによって、3ヵ月後から開始するプログラムで大きな差が出てくる。そのため、まずは周りの目を気にすることなく、しっかりした基礎づくりに没頭しよう。

ステージ1:安定した基礎づくり

筋トレ初心者のための最初の3ヵ月メニュー「たったの6種目を2分割」
(画像=『FITNESS LOVE』より 引用)

一昔前に比べると、私たちの日常生活はさまざまな便利グッズで溢れている。あまりに便利になりすぎたため、人々はすぐに結果を欲しがるようになってしまった。時間をかけてじっくり忍耐強くなどという言葉を人々は敬遠する。指をパチンと鳴らした瞬間に、求める結果が現れないと我慢がならないのだ。
あいにく、筋肉づくりはそういうわけにはいかない。コツコツと作り上げるしかないのだ。経験からそのことを知っているトレーニーたちは、だから見事に筋肉を発達させたアスリートをリスペクトするのである。並大抵の努力では築けないことを知っているから憧れるのである。
基礎は安定していればいるほどいい。基礎をしっかり作れば、それを土台にして大きなものを積み上げていけるのだ。また、土台が安定していればケガもしにくい。この過程をおろそかにする者は、ゴールにたどり着く前につまづくことになるということを忘れないように。
初級者にとって最初の3ヵ月は基礎づくりだ。その期間にやるべき種目とそのやり方を紹介するのでぜひ参考にしてほしい。


スクワット

①スクワットラックに適切な重量のバーベルを用意する。
②ラックの中に入り、上背部にバーを乗せる。不安定な位置にバーが来ないように、乗せる位置を微調整して、バーが安定するところを探そう。
③バーをラックから外したら、両足を腰幅よりも少し広めにして立ち、全身をしっかり緊張させる。
④膝を曲げながらゆっくりとしゃがむ。このとき、尻を後方に突き出し、椅子に座るようなつもりでしゃがむこと。
⑤しゃがむ動作では、背中が丸まらないように胸を張り、視線を正面に保つ。
⑥十分に低い位置までしゃがんだら、スタート地点まで同じ軌道を通って立ち上がり、1レップだ。


デッドリフト

①適切な重量をセットしたバーベルを用意して床に置く。
②バーの真下に足の甲が来る位置に立つ(できるだけバーに近い位置に立つため)。
③上体を前屈させて、両手を肩幅程度に開いてバーを握る。握るときはオーバーハンドグリップか、もしくは片手はオーバーグリップ、もう片方はアンダーリップにして握る(左右のグリップを変えた握り方をスタッガードグリップ、またはオルターネイトグリップと呼ぶ)
④バーを握ったら膝を曲げ、重心を後方に置き、バーをできるだけスネに近づける。
⑤下背部を平らに保ち、胸を張る。ここまでがスタートポジションの作り方だ。
⑥正しいスタートポジションを作ったら大きく息を吸い、重心を後ろにかけながらバーベルを床から浮かせる。
⑦バーベルを床から浮かせたら、ゆっくりと立ち上がり、上体が完全に起きたところがフィニッシュポジションだ。
⑧同じ軌道を通ってゆっくりとウエイトを床におろして1レップだ。


ヒップスラスト

①ベンチ台を用意する。また、プレートの直径が大きいオリンピックプレートを使いたいのでオリンピックバーも用意する。
②器具の準備ができたら、床に座り、両足を前方に伸ばし、背中をベンチ台につける。
③バーベルを脚の付け根付近に固定する。違和感がある人は、バーの下にタオルやパッドなどを敷いておくといい。
④肩甲骨あたりをベンチ台に乗せる。ここまでがスタートポジションの作り方だ。
⑤両足の裏でしっかり床を踏みしめ、バーベルを乗せたまま骨盤を天井に向けて押し上げる。トップでは膝、腰、肩関節が、横から見て一直線上に並ぶようにし、背中と床面が平行になるようにする。トップで一旦停止させて、殿筋を意識的に収縮させよう。
⑥トップポジションで一旦停止したあと、ゆっくりとスタート地点まで骨盤をおろして1レップだ。骨盤を下ろすときは尻が床面についてしまわないように。殿筋の緊張を常に維持したまま動作を続けよう。


ベンチプレス

①ラックにバーベルをセットする。
②ベンチにあお向けになり、ラックのバーが目のラインにくるように身体の位置を合わせよう。
③肩幅よりやや広めにバーを握る。理想的な手幅でバーを握っていれば、可動域の中間で前腕と上腕が直角になるはずだ。
④準備ができたらラックからバーを外し、肘を曲げながらゆっくりとバーを胸の中央をめがけておろしていく。このとき、肘を外に張りすぎないように注意しよう。
⑤バーが胸に触れるか触れないかぐらいの位置まで下ろしたら、腕を伸ばしてバーをスタート地点まで押し上げる。これで1レップだ。


オーバーヘッドプレス

①両足を腰幅よりもやや開いて立つ。
②肩幅より少し広めにバーを握り、肘を曲げ、手のひらを正面に向けて胸の上部で支える。これがスタートポジションだ。
③肘、手首、手のひらを通って天井まで一本の線が伸びているイメージを作ろう。この線上をなぞるようにしてバーベルを頭上に押し上げる。
④完全にバーベルを押し上げたら、同じ軌道を通ってスタート地点まで下ろす。これで1レップだ。
⑤バーベルを上げ下ろしする際は、最初にイメージした線上から軌道が外れてしまわないようにしよう。軌道がずれるとケガの原因になるので注意が必要だ。


チンアップ

①チンニング用のバーを使う。両腕を肩幅程度に開いて頭上に伸ばし、バーを握る。このとき、手の甲が正面に向くようにする。
②バーを握ってぶら下がり、両足を床から浮かせた状態にしておく。
③肘を曲げて体を上方に引き上げる。曲げた肘が床方向に向くように意識しよう(肘を床方向に押し込むイメージ)。
④あごがバーよりも高い位置にきたら、ゆっくり身体をスタート地点まで下ろして1レップだ。


注意事項

ここで紹介した基本種目だけでワークアウトを組み、それを週に2、3回の頻度で行ってしっかりした基礎を作っていこう。基本種目を正しいやり方で継続していけば、4~6週間が経過するころには筋力の向上が実感できるはずだ。種目の動作が楽に感じてきたら負荷を増やす時期だが、ここで調子に乗って一気に負荷を増やしてしまうと失敗する。フォームが崩れていないことを確認し、その上で筋力の向上が確認できたら、わずかづつ負荷を増加させていくようにしよう。
ところで、バーベルには必ずプレートをつけて使わなければならないと思い込んでいる人はいないだろうか。実際にやってみると、初級者にはバーだけでも十分重く感じられ、最初からプレートなど1枚もつけられないという人は多い。プレートをつけない空のバーだけでも、今の自分にとっては十分な負荷になっていると思えるならそれで構わない。ウエイトトレーニングをはじめたときの体型や運動レベルはそれぞれ異なるので、自分のレベルに合わせたスタートを切るようにしよう。
ただし、基礎種目の中のプルアップだけは自分の体重が負荷になる。そのため、身体を引き上げるどころかバーにぶら下がっているだけでもきついという人もいるはずだ。実際、プルアップという種目はそう簡単なものではないので、1回もできないからといって落ち込む必要はない。筋力がつくまでは補助つきのプルアップマシンを使ったり、バンドを使ったやり方を学んでバンドの張力を補助にして行うようにしてみよう。
無理をしないこと。これは特にトレーニング初級者にはとても重要なことである。慣れない動作で負荷をかけながら行うのだから、油断すればケガをすることになる。経験したことのない種目をいきなり高重量で行おうとしないこと。自分は昔から力が強かったので、最初から重い重量を扱っても大丈夫などと思わないことだ。
何事も基礎が重要なのだ。このことを十分に理解して、慎重にトレーニングを進めていこう。