昨年1月、ミャンマーで採取された琥珀中に、約9900万年前の甲虫の化石が発見されました。
甲虫は新種として記録されましたが、形態的に不明な点が多く、正体が謎であるとして「ミステリオモルフィデ」と命名されています。
しかし今回、ドイツ・ボン大学とチェコ・パラツキー大学の研究チームは、琥珀中の標本をCTスキャンにより3D上で再構築し、形態分類や進化史を明らかにしました。
10月8日付けで『Scientific Reports』に掲載された報告では、日本にも豊富に見られる「コメツキムシ」に最も近いと指摘されています。
死んだフリが得意な「コメツキムシ」の祖先か?
ミステリオモルフィデを閉じ込めた琥珀は、ミャンマー北部のカチン州で発見されました。
その後の調査で、本種は約1億4500万〜6600万年前の白亜紀に生息したと推定されています。
採取された標本は保存状態が非常に良好であり、CTスキャンでの3D復元に必要な条件を満たしていました。
標本の状態が良いほど、細かな特徴や生殖器のように内部に隠された部位まで調べ上げることができます。
結果、ミステリオモルフィデは形態分類的に、現生する「コメツキムシ科」に最も近縁であることが特定されました。
頭部、胸部、腹部の構造に類似点が多く、コメツキムシの古い祖先である可能性も指摘されています。
コメツキムシは、天敵に見つかると死んだフリをすることで有名ですが、ミステリオモルフィデも同じ習性を持っていたかもしれません。