自分でバイクのメンテナンスを行う上で初心者が最も不安に思うのが「誤ってバイクを壊してしまうのではないか」というものではないでしょうか。

例えばボルトを折ってしまったり、ネジの頭をナメてしまったりといったトラブルがあれば、作業は滞ることになり、場所が悪ければ乗ることができなくなってしまいますし、プロにリカバーをお願いしなければならなくなります。

良い工具は作業者のスキルをカバーする

そういったミスを防ぐには経験や知識が必要であると同時に良い工具が欠かせません。精度が良く、剛性があって使いやすい工具は作業者のスキルをカバーしてくれます。

有名ブランドの工具を使っていれば、ネジにまつわる失敗は飛躍的に少なくなることでしょう。

しかし、私のようなボロバイク愛好家が所有する40年以上前の保管環境が悪いバイクなどは、ボルトがスムーズに緩む方がレアケースというくらい壮絶を極めることもあります。

そうした際はナメたボルトやナットを外すための工具というものが重要となってくるのです。

ボルトの工具が掛かる部分がナメてしまった際は、レベルに応じていくつか緩める方法があります。

ボルトの頭をナメてしまったら色々試行錯誤する前にまず使いたい

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

ボルトの頭がナメてしまった再、最初期の段階で非常に効果的なのがネジザウルスなのです。

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

ネジザウルスは2つの顎の先端に半円状のくぼみがありそこに縦に溝が切られています。

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=その名の通り恐竜のような面構え!、『Moto Megane』より引用)

この構造により、ボルトの頭をがっちり掴んで回すことができるのです。

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=スプリング内蔵で自動で顎が開く。スピーディーに作業が可能、『Moto Megane』より引用)
ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=メカメカしいデザインのグリップは滑りづらく、握りやすい形状、『Moto Megane』より引用)

例えばプラスビスの工具の掛かる部分が崩れてドライバーが掛からなくなったとしても、頭の部分の外周を掴むので、緩められる確率は高くなります。

ただ、ボルトの頭を掴むので、奥まったボルトには使えません。また、グリップは手の力なので、ものすごく高トルクで締まる部分には適しません。

目次
良い工具は作業者のスキルをカバーする
ボルトの頭をナメてしまったら色々試行錯誤する前にまず使いたい
 ・【作業実践】ガッチリ食い込む縦溝であっけなくボルトが緩んだ!
 ・プロメカニックが誰しも頭を悩ませるあの部品にも使える!?

【作業実践】ガッチリ食い込む縦溝であっけなくボルトが緩んだ!

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

では実際にネジザウルスを使ってプラスのボルトを緩めてみます。こういった丸頭のプラスボルトは70年代以前のバイクに多く使われています。というか、その時代に今主流のヘックスボルトが無かったのです。

プラスボルトは非常に嘗めやすく、しかも古い年代のバイクだとたいてい固着気味なので、余計に失敗する確率が高くなります。

本来は6角頭ですが、撮影用にプラスボルトに交換し、思いっきりガッチリ締めました。

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

こうしたボルトが緩まない場合、ショックドライバーを使いたくなりますが、アルミ製のボトムケースなので、思いっきり叩くと割れます!

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

なので、ショックドライバーを使うことは避けた方が良いでしょう。もし、割れたら取り返しのつかないことになります……。

写真のプラスの頭は崩れていませんが、もし、固着で頭がナメてしまった場合、エキストラクターと呼ばれる「逆タップ」も使えない(叩かなければならないので)ので、ロッキングプライヤーで掴んで回すか、ドリルでボルトをもんで、新しくネジを切り直す方法を取ることになります。いずれにしても手間がかかります。

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

これをネジザウルスで緩めてみます。スリップしないようにがっちり握って

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

緩める方向にまわすだけ。あっけなく簡単に緩みました!縦溝がボルトの頭にガッチリ喰い込んでホールドするので、掌が痛くなるほどのフルパワーでグリップを握らなくとも緩めることができたのです。

ボルト周辺のスペースも限られているので、顎の大きなロッキングプライヤーでは掴みづらいですが、ネジザウルスはコンパクトなので、取り回しは非常に良好!スムーズにアクセスできます。

このように万が一の事態をリカバーしてくれる心強い工具だということが使ってみて実感できました。

ネジザウルスは対応ネジ径によって幅広いラインナップがありますが、バイクのメンテに使うのであれば、ここで使っている「ネジザウルスGT PZ-58」をまず最初に使ってみるのがオススメです。

プロメカニックが誰しも頭を悩ませるあの部品にも使える!?

バイクのエンジンの中でもヘッドとシリンダーとかクランクケースのカバー類の位置決めとして使われているドゥエルピン(ノックピンなどとも言う)。

エンジンの分解整備時にこれが残ると、ガスケット剥がしに苦労しますし、残ったままだと内燃機加工には出せません。

で、抜く方が良いのですが、薄肉の円筒形状なのでプライヤーなどで掴むと潰れて変形し、さらに抜けなくなってしまうのです!

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

中にドリルの刃を挿した状態で掴むとか色々方法があるのですが、この時、実はネジザウルスが結構使えました!

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

先端形状が円筒のものを掴むのにちょうど良い形状で、ドゥエルピン外径にフィット!

様々なサイズには試していませんが、スクーター用の8mmくらいのものは簡単に抜けました。

ドゥエルピン抜きに苦労されてるメカニックの方々!一度ネジザウルスを試してみてはいかがでしょうか?ただ、本来の使い方ではないのでその点十分留意してください。

ナメたネジを外す救世主!縦溝がネジの頭をがっちり掴んで離さない「ネジザウルス」【バイク整備】
(画像=『Moto Megane』より引用)

頭のナメてしまったボルトの抜き取りはもちろんのこと、その他バイクのメンテナンスに応用も効きそうな「ネジザウルス」。ベテランメカニックはもちろん、メンテナンスビギナーこそ緊急時のために持っておきたい逸品と言えるでしょう。

Photo&Text 丸山淳大

ネジザウルスGT PZ-58

価格3278円(税込)
対応ネジサイズφ3~9.5mm
全長160mm
先端長さ28mm
グリップ幅54mm
材質本体/高炭素鋼、グリップ/エラストマー

発売元/エンジニア

提供元・Moto Megane

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