韓国国内半導体業界の専門人材不足が慢性化するなか、企業間の人材確保競争も激しくなっている。
ここ数年間、全世界の半導体メーカーが大々的な投資に乗り出し、設備競争を繰り広げているが、一方では増えた施設を運営する人材が不足している。「銭の戦争」が今や人材確保競争に拡大している。韓国メディア「Newsis」が報じた。(写真:SKハイニックス=Newsis)
23日、業界によると、SKハイニックスは先月、5年未満の経歴者を採用するプログラム「ジュニアタレント」選考の申請を受け、性格検査を行っており、面接を進めている。
ジュニアタレント選考はSKハイニックスが昨年初めて導入した採用だ。キャリアを認められなかった2~5年目が転職する機会とされ、同種業界の低年次社員に関心を集めている。SKハイニックスは新入選考の採用も一緒に進めている。採用規模は今年に1000人をはるかに上回るものと見込んでいる。
サムスン電子もDS(半導体・部品)部門が来月12日までに経歴2年以上の社員を採用する。サムスン電子は昨年下半期と今年1月に経歴職の採用を進めた。現在、上半期の大卒新入公開採用を進めているが、人材を追加で補充している。
これまで業界でサムスン電子は経歴職人材を吸い込む「ブラックホール」と思われてきたが、最近は様相が変わった。龍仁(ヨンイン)半導体クラスターの構築、米国NAND子会社ソリダイムの発足、利川(イチョン)M16ファブの本格稼動などでSKハイニックスが人材採用に積極的だ。社内福祉制度の拡大も積極的だ。SKハイニックスは最近、約3万人に達する役職員の椅子を1個当たり250万ウォン(約26万円)の超高価製品に交換することを決め、同種業界で大きな話題を呼んだ。また、2週間80時間以上勤務した職員を対象に、毎月3週に4日間勤務する「ハッピーフライデー」制度も導入した。
報酬をめぐる競争も熾烈だ。昨年にSKハイニックスの労使は大卒技術事務職の初任給を5040万ウォン(約521万円)で合意し、同年サムスン電子の大卒初任給の4800万ウォン(約496万円)を追い抜いた。サムスン電子の労使協議会がまだ終わっていない中、SKハイニックスの労使は近く顔合わせを行い、本格的な賃金交渉に乗り出す予定だ。
業界では慢性的な半導体人材不足が人材確保競争を繰り広げる最も主な原因と見ている。韓国産業技術振興院が昨年末に発表した「2021年産業技術人材需給実態調査結果」によると、2020年末基準で半導体研究開発と技術、生産など必須の業務に携わる産業技術人材は9万9285人だ。必要に比べて1621人足りない。
企業が直接人材養成にも乗り出している。SKハイニックスは今月、漢陽(ハンヤン)大学と次世代半導体人材育成のための契約を締結し、半導体工学科の新設を支援することにした。選抜された学生は学費の全額と学業補助金の支援を受ける。卒業後、SKハイニックスに就職する。SKハイニックスはこれに先立ち、高麗(コリョ)大学と西江(ソガン)大学とも半導体専門人材養成のための学科開設協約を締結した。サムスン電子も現在、成均館(ソンギュングァン)大学、延世(ヨンセ)大学、KAIST、POSTECと半導体学科での協力を結んでいる。
業界では政府レベルの支援が切実だと見ている。韓国と激しい半導体産業競争を続けている中国と台湾の場合、毎年それぞれ20万人と1万人水準の半導体人材を輩出しているという。
一方、韓国の場合、1年間半導体学科の卒業生は650人余りに過ぎない。首都圏内の大学の定員を自由に増やせないよう制限した首都圏整備計画法にぶつかり、大学内の定員確保が難航している。これを受け、大統領職引継ぎ委員会も最近、システム半導体適合型人材を養成するための首都圏大学の定員拡大を主な内容とする「半導体の超格差確保のための支援策」を検討している。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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